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November 2009

リサイタル色々:カノン工房

                      鎌倉に遊びに来て下さったSさんご夫妻
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リサイタルの準備をするにあたり、様々な方がサポートして下さって、それぞれの役割分担を着実にこなす事によってコンサートに辿り着ける訳だが、私自身の管轄下だった事が出来なくなってしまった時に、助けを求めたのがカノン工房さんでした。

普段から音楽やコンサートに関する情報にはアンテナを張っているので、チラシも素敵なのがあれば、必ず取っておきます。残念ながらクラシックのチラシでセンスがいいものがなかなかないので、大体は演劇やダンスのチラシですが...。そんな中、ここ一年くらいクラシックのコンサートなのにハッと目を引くチラシがいくつかあり、それを手に取ってみると「カノン工房」がデザインしたものと分かりました。

インターネットで調べてみたら、コンサート制作をしている会社と分かったのだが、今回はコンサート制作に関してはスタッフがもう既に揃っていたので、頭の隅にだけ置いていました。

それが、8月の末に急にこちらではまかない切れない事が生じてしまい,藁をもつかむ思いでメールしてしまいました。まず驚いてしまったのが、本当に音楽家の立場、そして自主企画の大変さを本当によく理解した下さっているメールのお返事だった事でした。色々な事がうまくいかず、相当追いつめられていた時期だったので、夜中にカノン工房のSさんからのメールに思わず涙が出て来てしまう程でした。

すぐに会って下さる事になり、そして規格外のお願いを快く引き受けて下さいました。

%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%AF%BA%E9%87%91%E9%AD%9A_resize.jpgこの「カノン工房」さんは本当に音楽家が探し求めていた会社です。マネージメントが全てやって下さる音楽家はほんの一握りです。コンサート一つするには大変な労力が必要なのだが、その大変さから演奏の方が二の次になってしまったり、結局は長続きしなくなってしまったり...。そこを解消して下さるのがこの『カノン工房』さん。コンサートに何が必要かを理解している上で助けて下さるので、とても心強いです。全てをお任せする事も可能ですが、自主企画の場合は、周りにお手伝いをして下さる方がいない訳ではないので、足りない所だけを補強して下さると云うのも本当に嬉しい。
ステージマネージャー、スタッフ、チラシデザインから問い合わせ業務までと、本当にみんなに待ち望まれていた会社だと思っています。

何と云ってもこの会社を立ち上げたSさんが人間的に素晴らしい方で、本当にこのような方が音楽家を支えるお仕事をして下さっているのが感激です。
トラブルがあったからこそ出逢えた「カノン工房」さん。本当に感謝です。

リサイタル色々:5年の月日

                            風情のある人形町
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印刷関係の事で思わぬ事態が生じて,自分ではどうにも出来なくなってしまった時にお電話で相談したのが、5年前の東京文化会館のリサイタルで印刷物全般でお世話になったMさん。ずっとお会いしていなかったにも関わらず、持ちかけた相談にすぐに応対して下さり、助け舟を出して下さいました。そして、人形町にある事務所に伺う事に。

5年振りにお会いしたMさん。以前とは全く違うオーラを発していて、とにかくびっくりしました。貫禄から来る落ち着きと(いい意味での)自信に満ちあふれていて本当に感激しました。お会いしていなかった5年の間にこの人は日々,本当にいい仕事をして,着実に力を付けて来たんだな〜と感動。そして、自分もこの5年間、精一杯自分の出来る限りの事をして来ただろうか?と自問しながら帰って来ました。今の時代,クールに力を抜いて生きるのがかっこいいような風潮があるように思うが、やはり一生懸命に生きている人は素晴らしいな〜と思う。一生懸命な真面目さが年月を経て「余裕」という貫禄に変わるのを目の当たりにしました。落ち込んでいた時にMさんにお会い出来て、また新たにリサイタルに向けての活力を得る事が出来ました。

リサイタル色々:Romanceの香り

Romance_resize.jpgRomance続きで。
チラシを配って、色々な方から「Romance」のコメントを頂いているうちに、自分が考えていた音楽の中だけの「Romance」ではなくなり始めていた。
こちらが付けた副題だったが、人から聞く「Romance」の言葉について色々と考え出しました。音楽的な内容もちろんそうなのだが、コンサートとしての演出も何か出来ないだろうかと考え始めました。

そして思いついたのが香水。ラルフ・ローレンが出しているその名も「Romance」と云う香水があるのを思い出した。嗅覚と云うのは五感の中で一番記憶に残りやすいと何かで聞いたような気がするが、この香水を将来どこかで嗅いだ時に今回のコンサートを思い出してもらえたら素敵だな〜なんて想像が膨らんでいった。(香水に詳しい方はすぐにラルフ・ローレンのRomanceと分かってくれると思っていたし...。)

この香りをどうやって使おうか考えた末に辿り着いたのはプログラムに付けるアイデア。プログラムを開いた時にふわっとほのかに香ったらいいな〜とイメージだけは良かったのだが...。

実はプログラムと云うのは部数が多い上に厚い紙を使っているので相当重い。当日自分が会場まで運ぶ事が出来ないので、数日前にもう会場に送る事になっていた。
なので、香水を直接プログラムに吹き付けて万が一,置いてある数日間の間に紙が変色してしまったらいけないと思い、ハンカチに染み込ませて数日試しに密閉して置いておきました。(自分の寝室でこれをやったら部屋中に「Romance」の香りが充満してしまい数日間消えなくて困ってしまった...笑)しかし、部屋中香水の香りがプンプンしているのに残念ながらプログラムには全く香りが付かなかった。もう日も迫ってしまっていたので、今度は送り届けるダンボールの箱に思いっきり吹き付けてみました。(宅配便で届いたムンムンと香る荷物にホール側は迷惑したと思う。)

そして、当日どれくらい香りがついているかな〜と期待したのだが...。
全然付いていませんでした(笑)。あれはインキが香りをはじいてしまうのだろうか...?

だ〜れも(当たり前だが)気付かないので、コンサートが終わって余ったプログラムをしまう時にこの裏話をスタッフにしたら、みな一様に一生懸命匂いを嗅いでみてくれたが「う〜ん...。インキにいれてもらわないとだめかもね...。」とごもっともなご意見。

Romanceの香り。お客様まで届かなくて残念でした。

リサイタル色々:Romanceへの誘い

今回のリサイタルには初めて副題を付けました。今まで付けようと思った事がなかったのだが、今回のコンサートの発起人のKさんに付けた方がいいと云われたのがきっかけでした。「ロマン派の曲が多いからそこから何か」と云われたのだが、なかなかしっくりと来るものがなく、相当悩まされた。

コンサートが決まり、早い段階での打ち合わせの時にこの副題について5人で知恵を絞ったがなかなか決まらず...。私は英語の「ロマンス」と云う言葉が持つ意味をぜひ使いたかったのだが、日本語で使われる「ロマンス」と英語で使う「Romance」のニュアンスが全然違う。(当日配った挨拶文にはこの違いをもっと詳しく書いたのだが)「ロマンス」いう日本語はあまり日常的には使われないし、「ロマン」というと「男のロマン」とよく使われるが全然違う方向に進んでしまうという話になり、結局この話し合いをもとに何日間か考えていました。Oさんも提案して下さった「アルファベットにしたら...。」というのは私も考えていたので、結果「Romance」を使う事になりました。

そして、そのあとの言葉も相当2案の間で揺れていました。
「Romanceへの誘い」、そしてもう一案が「Romanceに誘われて」。
「Romanceへの誘い」の方が、作曲家からの直接的な誘いのような感じがするという理由で、最終決定したように思う。

チラシに書かれた最終的な副題。副題と云うのは思わぬ効果があるんだな〜と実感しました。色々な方がこの副題を口にするのを聞くとこの「Romanceへの誘い」が一人歩きしているような、とても不思議な気分に。「Romanceに誘われたいわ〜」と云って下さる方が多く(笑)、半分冗談でも、少し想像力をかき立てられるような要素があるのかな〜と内心副題の威力に感心していました。

そして、コンサート後も色々な方が「Romanceに誘われて幸せな時間でした」「Romanceにどっぶり浸かりました。」と云ってくれたのが凄く印象的です。実態のない音楽のイメージをつかみやすくしてくれているのかな〜とつくづく思う。

Kさんのひと言で付けた副題のおかげで今までになかったコンサートの幅が少し広がったような気がします。

天と地

Christmas%20Tree%20%E4%B8%B8%E3%81%AE%E5%86%85_resize.jpgコンサートの準備をしている間に季節は秋を通り過ぎてすっかり冬になってしまったのですね。今日、久しぶりにレッスンの帰りにブラブラとウィンドウ・ショッピングをしていたらすっかりクリスマスになっていたのでびっくりしてしまいました(笑)。

リサイタルが終わって、ここ数日事後処理に追われていますが、気分的には晴れ晴れ。本当にプレッシャーもなくなって、別に何を考えるともなく外を歩いているだけで、自然と笑みが湧いて来る。本当に心が軽くなったんだな〜と実感しています。生徒のレッスンに行く足取りも軽い(笑)。

演奏のための苦労と云うのをあまり来て下さるお客様に見せてはいけないと思っているので、リサイタル前はブログを書くのを控えていたが、これから少し今回のリサイタルまでの準備の裏話を書こうと思っています。

人に支えられて

Flowers_resize.jpg今日はここ数カ月間準備していたリサイタルでしたが、いかに人に支えられているかを実感する日でした。コンサートの実現を可能にして下さった方達,来て下さった大勢のお客様、そして遠くからお祈りをして下さった友人達のおかげで今日のコンサートが可能となりました。本当に感謝でいっぱいです。本当にありがとうございました。

本当に完売

今回のコンサートは会場が前回よりも席数が少ないために早いうちに完売してしまいました。ここ数日お断りしなくてはいけない状況が続いております。「キャンセル待ちを」と云う方もいらして下さるのですが、立ち見席が出せない会場のため、ホールまで来て頂いても聴いて頂けない可能性があるので、キャンセル待ちはお引き受けしていないのです。魔法のように私も好きなだけチケットを増やしたいところですが、、チケットは本当にもうどこにもないので、次回の時にぜひまたお願い致します。

あと一週間

リサイタルまでちょうど一週間。
自分なりに突き詰められる所まで来ているような気がします。
最後の一週間でさらなる磨きを期待したい。

追記:お陰さまで14日のリサイタルのチケットは完売致しました。
本当に有難うございました!

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