Thoughts

August 2010

イギリスの夏4

Piano%20in%20Oxford%201_resize.jpg文化の豊かさといえば、オックスフォードの友人に会いに行ったついでちょっと街を観光したのだが、大学内の教会のほとんどに必ずと云っていい程に大きなグランド・ピアノが置いてあった。ピアノがあるだけでその建物に対して何とも云えない親近感を急に覚えてしまうのだが、本当にどこにでも音楽が満ちあふれている感じがして嬉しくなってしまいます。

Oxford%20Early%20Music_resize.jpgコンサートもあちこちで行われており、今回特に目を引いたのはある大学の教会で行われていたバロックとそれ以前に書かれていた音楽をテーマ別に取り上げたコンサート・シリーズ。Rehearsal%20in%20Progress_resize.jpg『エリザベスⅠ世の愛』『3人のジョージ』など歴史的にも面白そうなテーマ。ロウソクの明かりのもと行われるこれらのコンサート。全部が全部聴いてみたいものばかりで行けないがとっても残念。

心惹かれる空間やイベントがこんなにあって羨ましい限り。

←「リハーサル中」という立派な立て札(笑)

イギリスの夏3

                            リッチモンド劇場
Richmond%20Theatre_resize.jpgヨーロッパに行くと文化の深さにつくづく感激する。本当に生活の一部として根付いているのが羨ましい。

今回は演劇を2つ観て来ました。一つは「Ghost Stories(ゴースト・ストーリーズ)」幽霊話という事になるが、ロンドンに行く前から評判がすこぶる良いのを知っていたのと、他に興味をそそるものがなかったのでこれに決めてしまいました。

が、劇場に一歩入ってすぐに後悔。幽霊屋敷も怪談話も超苦手なのにどうしてまたこんな所に来ちゃったんだろう、と席に付いてからまた気付いてしまった(涙)。前に座っていた人がやけに体の大きい人で本来だったら苦笑いしている所だが、隠れられる安心感があって感謝してしまったくらい(笑)。評判が良かったというのも「大人でもとっても怖い」という事だったので、自分の愚かさにつくづく呆れてしまった。

何度も前の大きい人を盾にして隙間から見たりしていたのだが、一番怖い所はもう手で覆って観ないようにしてまった。自分で何しに来たんだかよく分からない。。。とにかく怖かった。。。

Simon%20Callow_resize.jpgもう一つの劇はロンドン郊外のリッチモンドの劇場でやっていた、シェークスピアの一生を語る一人芝居。俳優が「フォー・ウエディング」で死んでしまうゲイのカップルの男の人、Simon Callow (サイモン・キャロー)。演技は素晴らしく、声がとってもいいので見ていても心地いいのだが、劇自体があまり良くなくてちょっとがっかり。
隣に座っていたアメリカ人と「何が云いたいんだろうね〜」と意気投合してしまった(笑)。

それにしても驚いたのが、ロンドンから1時間程のこの劇場。100年以上の歴史があってとっても立派。ロンドンの劇場に全くひけを取らない。おまけに平日なのに、800人強の劇場が超満杯でぎりぎりで私もチケットが取れたようなもの。天気も良く、始まる前や休憩時間は外に出てゆったりと過ごしているイギリス人達を見ていると、つくづく豊かな生活だな〜と思わざるおえません。

今回は演劇内容は二つとも(Ghost Storiesはインパクトはあったものの)心に残るものではなかったのが残念だったが、やはり観客や劇場の雰囲気を味わえて来れただけでも心が豊かになった気分です。

イギリスつながり

今日は相当インパクトのあるコンサートに行って来たので、イギリスのブログは一休憩。

先週の半ば程に体調が何となくおかしくなり、あんなに気を付けていたのに熱中症(熱射病?)になってしまったよう。ず〜っと何となく体調が今ひとつ。とても元気に過ごせる時もあるが、波のように急にだるさと体の不具合がやって来てしまう。なので、ここ数日は練習と生徒達のレッスン以外は体力を温存するようにしている。

そんな中、以前にもブログに登場している15歳のチェリストA君のコンサートがあり、ぎりぎりまで体調を見て、今日は何とか大丈夫そうだったので行く事に。

行って本当に良かった(笑)!!!!!噂には聞いていたがここまで凄いとは失礼ながら思わなかった。まず出て来た時から風格がある(笑)。最後に会ったのは一緒に海水浴に行った一年前。背も伸びているし、いつもはTシャツ姿しか見ていなかったので、凛々しい姿がかっこ良くてびっくり。(いつもスッピンで全然おしゃれじゃない自分を見ている人がステージでの私を見てそのあまりの違いに驚いたとよく云われるのだが、こういう感覚なのかな〜と初めて自分で実感出来ました...笑)

おまけにプログラムも凄い。イギリスに留学しているせいか選曲が素晴らしい。リゲッティ(近代)とバッハの無伴奏曲にブラームスとドビュッシーのチェロとピアノのソナタ。センスの良さと情の深さには目を見張るものが。ピアノを弾いていらしたお姉様も素晴らしく、二人とも情熱的なのに音楽に対しての謙虚さが伝わって来て、本当に聴いていて音楽が純粋に聴こえて来ました。私自身思い入れのあるブラームスは人の演奏を聴くと物足りなく感じてしまう事が多いのだが、今回は本当に大満足。この暑いのに、自分もブラームスを凄く弾きたくなりました。

A君が演奏している姿を見ているうちに(全然レベルが違うので一緒にするのも申しわけないのだが)自分の中学の頃を思い出しました。まだ10代の時は自分の思いというのを上手く人に伝えられないものだが、ピアノを通してだけは言葉や態度では伝え切れないものを表現出来ていたように思う。それがピアノが凄く好きだった一つの理由だった気がする。今日のA君を見ていても、「10代にして、もう既にこんなにも自分を表現する手段を持っていて、本当に幸せだな〜」とつくづく思ってしまった。

自分もここから出発していたのに、大人になってからはなかなか自分を表現し切っている実感がないのが最大の悩みだったが、今日のA君の演奏を聴いて(というか見て)何か凄い事を思い出せたような気がします。

家に帰って来てむさぼるように3時間程練習。15歳のA君から受けたインスピレーションで本来の自分の音楽を再発見できるかも...。

イギリスの夏2:喜び

Prom%202010_resize.jpg毎年夏にロイヤル・アルバート・ホールで行われるクラシック音楽の祭典、プロムズ。
今年も一回だけ行く事が出来ました。ワーグナーの序曲にベートーベンのピアノ協奏曲第2番、そして後半はドヴォルジャークの「新世界」。
天井近くのギャラリーでの立ち見券は当日販売だが危うく入れない所だった(整理番号が522番!)。とにかくホール全体がはち切れそうに超満員。今まで何回もこのホールには行っているがこんなに満杯なのは珍しい。何かが起こったら、もう諦めるしかないな〜と思ってしまったが...。しかし、こんなにも一同にクラシックを聴きに来ている人達がいるかと思うと嬉しくなってしまいます。

オケはCity of Birmingham Symphony Orchestra (シティ・オブ・バーミンガム・シンフォニー・オーケストラ)。今ではベルリン・フィルの常任指揮者になっているサイモン・ラトルが育て上げたオケ。指揮者は若い人だったが最初の一音から素晴らしく、本当に生演奏を堪能しました。

ベートーベンのピアニストはイギリスで今大人気のポール・ルイス。前にブログにも登場しているが、日本の400人強のホールで聴いた時にはスケールがあまりに大きく、圧倒され過ぎてしまったのでいつかぜひとも大きなホールで聴きたいと思っていた。大物とはまさに字の通りで今回の6000人のホールでちょうど良かった(笑)。とにかく幅の広さに感心してしまった。ホールに響き渡る大きな音と、叙情的な本当にpp(小さな)音が全てクリアに聴こえて本当に素晴らしかった。

後半の「新世界」も本当に音楽が生き生きとしていて気持ちがいい。音楽を聴いていて、音楽の中の(作曲家、そして演奏家の)喜びが伝わって来る。

今回の旅では音楽関係の友人ばかりと会っていたせいか、車の中でクラシックのラジオ局を付けている人が多かったが、ラジオから聴こえて来る無名の音楽家達の演奏でも、やはり喜びがこちらにも伝わって来る事が多く、本当に聴いていてこちらも楽しくなる。弾いている人達の意識の違いだとも思うが、音程的なものもあるのかな〜と思ったり。そして、日本に帰って来てからは、その音程も湿度や温度とも関係しているのかな〜と思ったり。日本ではなかなか出逢えないあの「喜び」の感覚は何なんだろう...?

そもそもこの容赦ない暑さと湿気の中では、あの喜びに溢れた演奏をするのはなかなか難しいとは思うが...(笑)。いつになったら涼しくなってくれるんだろうか...。

イギリスの夏1

Hereford%20feet_resize.jpg今回のイギリスの旅は2週間程。
ロンドンでは色々と刺激を受けて、郊外の田舎に行けば癒されて...。移動も多かったので、何となく落ち着かない感じもあったが、少しの時間でも普段会えない友達と会えて、心にまたたくさんの財産を蓄えて来る事ができました。特に子供に会うとそう感じます。成長している過程を年に一度でも見れると離れていても、何となく共に時間を”進んでいる”感じがします。スカイプで顔を見て話せるのも本当に凄い事だと思うけど、やはり同じ空間にいる喜びは何事にも代え難い。

涼しいイギリスから。。。

Summer%202010_resize.jpg楽しいイギリスでの夏休みから先週帰って来ました。
最近ブログが旅行記ばかりになってしまっていたので、今回は書くのをやめようかとおもっていたのだが、今コンピューターの前で写真の整理をしていたらまた書きたくなってしまいました。なので、少しだけ書く事にします(笑)。

イギリスにいる間に来るメール来るメールが「暑い!暑い!」と書いてあったが、涼しい(寒い?)所にいると全然想像も出来ないものです。成田に着いた途端に凄い暑さに身体もびっくり。帰りの家までの横須賀線は冷房がいつもキンキンに効き過ぎていて悪名高いのだが、冷房が壊れているのではないかと思ってしまったくらいに全く涼しさを感じなかった(涙)。その後3日くらいは熱が身体に溜ってしまっていた様子で、全く冷房が感じられず...。前回、やはり涼しいロンドンから帰って来た時に軽い熱中症に掛かった事があったので今回な用心して必要以上にスポーツドリンクを飲んだおかげ熱中症は避けられたが。。。

時差と暑さで帰って来た最初の数日はもうろうとしながらも練習と生徒のレッスン。
最近、不思議な事に時差があるのかないのか今ひとつ分からないのが自分でも面白い(笑)。

暑さと戦いながらも早速に色々と弾く機会があるので、心はリフレッシュして来れたのでとっても張り切っています。