Thoughts

October 2010

偶然?

チリ鉱山に閉じ込められていた33人が全員無事に救出され、本当に良かった。最後に助け出されたリーダー的存在のウルスアさんが引き上げられた瞬間が何度も放映されたが、毎回感動する(笑)。あんなに深い地下に救助隊員が6人も送り込まれて、鉱員全員が助けられても何となく心が落ち着かなかったがその6人も無事に引き上げられたらしいので、本当に良かった。久しぶりのいいニュースに心が湧きました。

さて、最近、色々と人との触れ合いや人としてのあり方について考えさせられる事が多い。それが、最終的にその人の人生を物語るものとなり、そして私に関しては、音楽そのものに反映されるのだと思っている。音楽は最終的に作り出すものでなく、その人のそのものを語るものだと思う。

%E7%9F%B3%E7%89%9F%E7%A4%BC%E9%81%93%E5%AD%90_resize.jpg先日テレビでトルコのノーベル賞作家オルハン・パムクさんが来日した際のドキュメンタリーをやっていたが、彼の哲学を色々と聞いているうちにピンと来るものがありました。今まさに読んでいる本の作家、石牟礼道子さんの事を思い出したのだが、数分後にはその石牟礼さんとの対談となっていました。石牟礼さんは水俣病との関わりを通して、今私たちが進んでいる文明の行く末に対する疑問を投げかけている。(友人が貸してくれた本「言霊」にも今もなおも続く水俣病の問題が書かれていて相当ショックを受けました。)そして後半にはパムクさんの大江健三郎さんとの対談。一番興味を持ったのは大江さんの発言で(言葉がうろ覚えで申しわけないが)「想像力はいかに人と自分を重ね合わせられるかという事で最も重要」というような事を云っていた。人の痛みや悲しみ、喜びをいかに自分と重ね合わせられるか。その想像力を読み手に呼び起こすのが作家の役目という事も云っていたと思うが、これは実生活の中でも私たちが日々心得ていなくてはいけない心構えなのではないだろうか。

音楽ももちろんそうで、作曲家と自分を重ね合わせる事もそうだが、日々の生活の中で他人と自分を重ね合わせる心のひだがなければ音楽の中だけで作り上げた世界は虚構に過ぎないのではないか。
年を取れば取る程に音楽がその人の人生そのものを反映しているように感じて来ている。自分がどう生きるか=どう人と関わりを持つかに色々と迷いを持っている今日この頃なので真実と思える自分の進むべき道を見付けたい。

文化の秋だが...。

秋、真っただ中という感じで真っ青な空も見られるようになって来て、とても気持ちがいい。少々暑いが、夏のだれ切っていた自分から抜け出してやっと本格的にフル活動。文化の秋に相応しく、知人友人のコンサートに行く事も多い。週に2~3回は行っている(笑)。

今日もコンサートに行って来たので、ここ最近聴いて来た色々な感想や思いを書こうと思ったのだが帰って来てテレビを付けたらチリの鉱山のニュースをライブでやっていて、すっかりそれに心を奪われてしまいました。一人一人の救出に時間が掛かるのでこれから引き上げられる人の事を細かに紹介してくれる。何だか隣のおじさんのような親近感を覚え出すので、地上に出て来た時には何ともいえない感動がある。人の生命の大切さとそれを利害関係なしに救おうとする人達の素晴らしさを実感する。(この救出劇を大統領が意図的に利用していると批判しているものもあったが、自分に助ける力があったら助けない人はいないだろうし、そんな事とは別に実際に助け出せているのだから、はっきり云ってこの批判はどうでもいい...。数年前のソ連の潜水艦の悲劇を考えれば、全力を尽くして救出しようとしているチリ政府はあるべきす姿ではないだろうか?)

今の時点では15人が救出されている。残りの18人が無事に救出される事を切に祈って...。

秋の香り

数日前、急にほのかに香って来たキンモクセイも今ではどの街に行っても甘い香りを大いに放っている。いつも駅まで歩く細い路地で毎年一番先にその香りに気付くのだが(この場所は桜の木もあって桜の開花も他の場所よりも2〜3週間早い)今では鎌倉駅のホーム、生徒達の家へ歩いて行く道のあちこちで香っています。一番驚いたのは新宿のビル群の歩道橋の上でも香りがして来たので見回したら、鉢に植えてありました(笑)。

あんなに暑かった夏でしたが、秋になってしまえば忘れてしまうものですね(笑)。
熱中症で暑い時は体調が今ひとつだったが、今はすっかり元気。

実は来年の夏までは少し演奏活動を休止して大きなコンサートを控えようと思っていたのだが急に予定が変更になり、来年の3月にリサイタル、そして夏には室内楽のコンサートをする事になりそう。気持ちの切り替えがなかなか出来なくて自分でももどかしいのだが、今はとりあえずリサイタルのプログラム作りに毎日頭を悩ましています。2週間程前から考えているのだがなかなか決まらない。。。「これで完璧!」と思っていたプログラムがあったのだが「来年はリストの生誕200年祭だから出来れば彼の曲も入れて欲しい」とのリクエストがあり、リストも入れたプログラムに変更。

リストの曲をいれたプログラムを友人のピアニストMちゃんに相談したら、「凄いプログラムだね。弾く方も大変だけど、聴く方も大変だと思うよ」と云われ、我に帰って「確かにそうだ。。。」と思い返し再度見当。弾きたい曲がいくつかあるのだが、なかなか組み合わせが難しい。感情的な流れも考えなくてはいけないのだが、意外と難しいのが調性。「これで行ける!」と思っていた、感情的にはバッチリのプログラムの中で変ニ長調の曲からイ長調の曲へと行く、なんとも不自然な流れになっている所があり「押し通してもいいのだろうか」と考えたり、間にもう一曲入れるか考えたり。。。

「この線で行ったらいいかな...?」と思って新しい曲を一生懸命譜読みしては数日後に却下になったりもしているので、いい加減に決めなくてはと思っている。2〜3日中にこれぞと思うプログラムが閃くといいのだが...。