Thoughts

April 2015

トップページのリニューアル

6月のリサイタルのチラシを今、皆さんにお送りしているところですが、今回のチラシのメインの写真は昨年に齋藤陽道さんに撮って頂いた写真を使わせて頂いています。昨年のフォト・セッションの写真は本当に素敵なものばかりだったのですが、なかなか人に見せる機会もなく、とても残念に思っていました。なので、こうしてリサイタルをする事になり、そしてデザイナーのHさんがインパクトがありながらも温かみのある素敵なチラシに仕上げて下さった事をとても嬉しく思っています。

そして、それに合わせて、こちらのホームページのトップページも齋藤さんの写真でリニューアルしました。「静寂の中から音楽が聴こえて来るような」のイメージに近づけるためにこの2ヶ月程デザイナーさんとやり取りをしながら作ってきました。音はないけれど、私が理想とする静かなる音楽が聴こえて来るような気がして、デザイナーのSさん、そして齋藤さんに大感謝です。

音楽をビジュアル化して下さるたくさんの方につくづく支えられているな〜と感謝の気持ちでいっぱいです。

エッジが立つ

先日、テレビで観たうどん名人の番組。美味しいうどんは「エッジが立っている」と云っていたが、実際にその方の打ったうどんは茹でると、本当に一目瞭然に4つの角のエッジが尖っているくらいに立っていてびっくりした。

今、自分が目指している音楽にも凄く共通しているところがあって、とにかく音が立つように、と思って練習している。きつい音とか強い音とはまた違う「エッジのある」音。それによって音楽の輪郭がはっきりして、立体感が出るのだと思うけど、今まで音が柔らかすぎる傾向にあったように思うので、ちょっと気が緩むとすぐにぼやけた音/音楽になってしまう。
気持ちもいつも「エッジが立って」いなくては、と思う。

せんはうたう

絵本が好きで本屋さんでよくチェックするのだが、最近出逢って一目惚れした本が詩:谷川俊太郎さん、絵:望月通陽さんの「せんはうたう」。詩も絵も装丁も素晴らしく、本当に手に持った感触すらも愛らしい。

%E3%81%9B%E3%82%93%E3%81%AF%E3%81%86%E3%81%9F%E3%81%86_resize.jpg毎週、生徒さんのレッスンで行っている下北沢にある本屋さんで見付けたのだが、ここ3週間連続でこの本を購入している(笑)。お店の方が「この本、素敵ですよね。この本を出した会社がこの上の階にあるんですよ」と教えてくれました。色々と興味を持ってその出版社を調べてみると、この本を作りたいがために女性の方が一人でいきなり出版社を立ち上げたらしい。それほどにこの本は作られる前から凄い力を持っていたんだな〜と思う。

そして、出版社の紹介文を見ると「大切な人にプレゼントしたくなる本を作りたかった」と書いてあった。私も一冊目は自分のために買ったのだが、結局それも急に人に差し上げる事になり、そして、その後の2冊も、どうしてもプレゼントしたくなってしまってまた買ってしまった。
とにかくほのぼのとして、幸せな気持ちにさせてくれます。

とても繊細で夢のような詩なのだが、実は凄く真実もついているからこそ、こんなに魅了されてしまったのだと思う。
「うたにひっぱられて、こわいけど、ほしにあいにいきます。」という一編があり、これは「こわいけど」という言葉も含め、本当に的確に音楽の事を表しているよう思う。谷川さんはピアノは弾かれるのかしら...?絵の方はピアノを弾いている絵なのだけど、谷川さんは聞いている側として書いたのだろうか。でも、弾く側の心理/真理をもまさについているのだ。
今、手元に本が無いのでおぼれげにしか覚えていないのだが、その前の一編が「ぴあののなかで うたはまっている つきとデートするよるを」のような事が書いてあって、これも人によっては空想/想像の世界と思われてしまうのかもしれないけど、音楽の世界は宇宙と現実的に繋がっている感があり、感覚的に凄く現実味があります。こんな風に書くと、相当とんでいる人と思われてしまいそうだが、あの「せんはうたう」の本は私にとっては全然夢物語ではなく、とても現実的に感じるのです。本当に谷川俊太郎さんは素晴らしい!

この本、2年程前に出たものらしいが、街の本屋さんで見掛ける事はなく、こうして出逢えた事に大感謝です。

6月14日(日)ピアノリサイタル

6月のピアノリサイタルのチラシが出来上がり、公に宣伝する事が出来るようになりました。久しぶりのリサイタルですが、ここ一年程の修業の成果がやっと見え始めているので、とても張り切っています!
インフォーメション・ページに詳細を載せていますので、聴きにいらして頂けたら幸いです!

宇宙の匂い

昨日、イギリスの友人がニューヨーク在住の日本人の画家Makoto Fujimuraさんのリンクを送ってくれたのだが、Fujimuraさんのインタビューがとても興味深く、色々と考えがどんどんと発展していきました。

鎌倉に住んだ事のあるFujimuraさんが鎌倉の海の「匂い」について語っていて、それが結構強い匂いだという事をコメントしている。確かに鎌倉の由比ガ浜の海は狭い湾になっているせいか、他の海に比べてとくに潮の匂いが強いように思う。Fujimuraさんが自分の描いた絵を前に「この絵からはその鎌倉の海の匂いがする」と語っていて、それがとても印象に残り、今日になって色々と考えているうちに急に「宇宙ってどんな匂いがするんだろう?」と考え出しました。今まで考えた事も無かったので何となく無臭のイメージがあったのだと思うが、そのうち「花みたいな甘い匂いだったら素敵だな」とか「臭い強烈な匂いだったら嫌だな」とか考え始め、どうにも気になり出した。でも、人間は宇宙服でしか外には出れないだろうから、宇宙の匂いは人間には永遠に嗅げないものなのかな、と思ったり。

そこで、さすがはインターネット。全ての答えが載っていました(笑)。まずは宇宙服問題だが、外で作業した後に宇宙服に宇宙の匂いが染み付くらしく、宇宙ステーションに戻って来た時に宇宙の匂いがするらしい。
そして、なんとなんと、NASAの宇宙飛行士によると、宇宙はラズベリーに似た、甘い金属の匂いがするらしい!宇宙が甘い匂いがするなんて、なんて素敵なんだろう。
今日の大発見でした(笑)。

本物

Flowers%201_resize.jpg鎌倉の桜も満開近くになって来ました。(ちなみに今メイン通りの段葛は工事中で桜並木はありません...。寂しい。)

ここ最近、ピアノの変わり様が本物になって来たのではと確信に近いものを持ち始めていて、ごちゃごちゃと言葉にするのも勿体なくなって来た。とにかく今まで、言葉で考え過ぎていた事に気付き、音楽はやはり言葉を介さないものであったと実感している。ちょっと前に凄く面白い感覚に陥った事があって、曲を弾き終わった後に「私は誰?」を通り越して「私は何?」という状態になっていた。「言葉を話す人間」というのを忘れていた感じである。

Flowers%202_resize.jpg本物ではないかと思える要素がいくつかあるのだが、一つは自分とは関係なく、音楽が独り立ちしているように感じるようになって来た事。そして、「私はこういう風に弾きかったのか!」と本来の自分の姿を発見する事がある。感情や思いや考えではなく、自らを分けた「自分」がそこにあると思える音楽がでて来ました。嘘や偽りが一つもない、上手い下手とは別の次元の音楽が確かにあった。

今、6月のリサイタルに向けての準備に入っているが、練習がとても充実している。過信しないよう、道をそれないように、気を引き締めなくては!