Thoughts

January 2018

何?

昨日は1日に3つのコンサートをする予定になっている友人Mさんが家に来て、そのリサイタルプログラムを弾いてくれました。バッハからシューベルト、ベートーベン、ムソルグスキー、ショパンと本当に盛りだくさん。レパートリーもそうだが、音楽表現もとても幅広く、何十年と彼女の演奏を聴いているにも関わらず、また新たな面をたくさん発見できました。いつ聴いてもMさんの音楽のフレージングの美しさとセンスの良さには唸らされます。

演奏のつくづく面白いところは(特にピアノがそうなりがちだと思うのだが)自分で一生懸命にやればやるほど、自分で何をしているのかが見えなくなってしまって迷宮入りしてしまう事が逆に多くなってしまう気がします。なので、ちょっと人に聴いてもらって、感想を言ってもらうと自分でも気付かなかったことにハッとしたり、違う視点からものが見えるようになれる事があったりします。良かれと思ってやっている事が逆に裏目に出たり、逆にあまり思い入れをしていないところが良く伝わっていたり。どうしても演奏者と聴き手の感じ方の違いはあるので、人に聴いてもらうというのは本当に大切だなと思っています。彼女も私が言った感想で新たな発見が色々とあったようで、「鋭いね〜」「素晴らしい耳!」と褒めてくれました(笑)。

今回の演奏プログラムでも話は大いに盛り上がったのだが、彼女が関わっている仕事でアメリカの作曲家ジョン・ケージの「4”33」という曲の話題になりました。これはピアノの前に座り、ストップウオッチで4分33秒を図りながら、全く音を一つも弾かない、3楽章からなる曲です。ギャグの対象になりがちな曲だし、実際に弾こうと思った事が一度もないので、あまり深く考えた事がなかったのだが、昨日色々と話しているうちにかなり気になりだしてしまいました。昨日はMさんの今度のコンサートで弾くことだけでなく、色々と話すことも多く、長い長い1日になり、夜も遅かったのだが、彼女が帰ってからも、ジョン・ケージのこの曲についての記事をネットで検索して読み漁り、インタビューまでもをいくつか見てしまいました。この曲だけでなく、ジョン・ケージの姿勢に考えさせられているのだと思うのだが、『「4”33」は何なの?』という思いよりも、では、「私はバッハやブラームスを弾いて何をやっているの?」というところにまで発展してしまい、今日は考えがぐるぐる回ってしまいました。こんなに考えさせられるだけでも、この曲は本当に凄いな〜と思ってしまうようになりました。本当に音楽って何だろう。。。

(素朴な疑問だけど、なぜ「4"31」でもなく「4"40」でもなかったんだろう。3楽章あるというのも衝撃だったな〜。。。)

Happy 2018!

新しい年となりました。
世界平和を本当に切実に願うばかりです。
みなさまにとって良い年、そしてみなが世界を平和へと向かう年に心からお祈りしております。