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February 2022

名人

いや〜、ものすごいものを観ました。
なんと、今話題の神田伯山が鎌倉芸術館に来てくれました。
しかも独演会。
いつもコンサートや演劇のチケットを取るのがギリギリになってしまって、取り損なうことも多々あるのですが、これは運良く、発売開始前にチラシを見、発売当日の朝一番にチケットを取りました。もちろん、チケットはあっという間に完売、よく取れたものだな、と思う。

講談は今まで興味もなかったし、もちろん一度も見たことがなかったが、テレビでの伯山を見て、やはりすごいと思い、機会があれば一度生を見てみたいと常々思っていた。

会場は600席ほどのホールだったが、超満員。普通はどんなに満席でも、当日来れなかったり、空きが出たりしてポツポツと空席があったりするものだが、今日は本当に一席も空いていない状態。おまけにやはり始まる前から観客の期待感とワクワク感が伝わってくる。

午後6時スタートだったが、予定終演時刻が何と午後8時半と書いてあってまずびっくり。独演会だし、そんなに長く話せるものではないだろうと思っていたので、長くても1時間半くらいかな、と思っていたのだが。。。

それにしても、全てにおいて『すごい!!!』のひとこと。隣に座っていた30代くらいの男性も終わった後、「すごい」を連発していた(笑)。

とにかく観客の心を鷲掴み。お人柄がそうさせてもいるんだろうけど、サービス精神がすごい。でも、媚びない。まず鎌倉の話から入るところから、親近感も持たせ、師匠や講談の裏話から興味が湧いて、これから話す講談の時代背景や人物たちについても予備知識を面白く今の時代につなげて話してくれるので、講談に辿り着く頃にはスッと話に入り込めちゃう。時代物は苦手なのだが、こんなに江戸時代の人たちと共感できたのは初めて(笑)。

前半が短い話が3つ。これも言っていたことだが、話の長さはお客さんによってかなり変わるらしい。その場その場の空気を読んでいるのだと思うのだが、最初の話が「17分」と言っていたが、これはあくまでも目安らしい。今までの最短が9分だそう!そして、今回は結果的に21分だったと言っていた。それくらいに「生きている」話を聞いている感がある。
6時始まりで、前半が終わったのが7:20。1時間20分、休憩なし。とにかく飽きさせないから、あっという間だった。時間を全く忘れてしまった。

そして、後半は長い話が一つ。笑いあり、涙あり、感情を端から端まで揺り動かされる。あんなに舞台にいる人と観客が一体化しているのを感じたのはここ数年ないかもしれない。コンサートも含め、イギリスやアメリカでもたくさんの演劇を見てきているが、あんなに一人の人に集中して皆が聞きいっている感覚は本当に久しぶりでした。

神田伯山のお人柄が素晴らしく、師匠や他の講談師に対する尊敬の念、謙遜で人、観客に対する優しさ、情の深さがしみじみと伝わってきました。そして、もちろん話のうまさ、迫力、リズム感、テンポ感、全てにおいて、恐れ入りました〜と言う感じでした。これぞ名人!本当にすごい!!!

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