Thoughts

February 2014

夢が一つ

長年の夢が一つ叶いそう。
20年程前からずっと弾きたいと思っていた曲があり、それをついにロンドンでのコンサートで弾くチャンスが出て来ました。ブラームスのピアノ五重奏。初めて聴いたときから惚れ込み、いつか演奏したいとずっと思っていました。しかし、なかなかピアノ五重奏というのはメンバーを揃えるのも難しく、おまけに時間が経てば経つ程、誰とでも弾きたい、という訳でもなくなって来てしまった。このブラームスのピアノ五重奏はもともとブラームスがピアノ2台のために書いた曲だったので、五重奏が実現しないのだったら2台ピアノの方で弾く方向で考えたりもしたし、何人かのピアニストと試してみたりもしたのだが、これもなかなか難しく、結局実現には至りませんでした。

昨年、ある事がきっかけで、どうにかしてこのピアノ五重奏を実現させたいと思い、数年前から「いつか一緒にやりたいね〜」と云っていた友人に「具体的に計画しよう」と持ちかけました。昨年の夏から、何回もダメになっては可能性がまた出て来たりして、本当に紆余曲折あったのだが、ついにコンサートをする所まで辿り着きました。本当に本当に嬉しい。

今、練習真っただ中だが、一人で弾いていても楽しくてしょうがない。ましてや、これに弦楽四重奏、それも本当に自分が大好きな演奏家達の音が乗っかって来ると想像するだけでワクワクします。

ブラームスはやっぱりいいなぁ〜〜〜〜。

音楽的

%E6%AE%B5%E8%91%9B%E9%9B%AA_resize.jpgまたしても凄い雪ですね...。

オリンピック。
先日夜中にテレビを付けたら、たまたま男子フィギュアの町田選手の演技をやっていたのだが、あまりに素晴らしくてびっくり。とにかく「音楽的」で内面世界を表現しきっているのに感動しました。羽生選手がばかりが取り上げられるので密かにその凄さを心に留めていたのだが、イギリスの友人と電話で話している時に、その町田選手の事を口に出したら、「BBCの人が凄く褒めていて、ジャンプで跳び足りなくて点数は出せなかったのがとても残念だ」って云っていたよ、と教えてくれました。あの凄さを分かってくれる人がいて嬉しい。やはり私の好みはイギリス人と似ているような気がする...。

ストレスフリー

                              雪の雪ノ下
%E9%9B%AA%E3%81%AE%E9%9B%AA%E3%83%8E%E4%B8%8B_resize.jpg一日でこんなにも雪って積もるのね、ってくらいに鎌倉凄い事になっていました。
でも、今日は一転。太陽が照って,気温もぐんぐんあがって雪も朝から溶けていました。いつも思うのだが、大人になって雨や雪で何が嫌かと云えば、靴が原因のような気がする。数年前に雨用のお気に入りのブーツが見付かってから雨でもさほど出掛けるのが憂鬱でなくなりました。%E3%83%A2%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%82%B3%E3%83%96%E3%83%BC%E3%83%84_resize.jpgそして、今回の雪。真冬の被災地にボランティアに行くために一年程前に買った雪でも大丈夫なように完全防水のモコモコのブーツがあったので、全然外に出るのが億劫ではなかった。今日,初めて鎌倉で役に立ちました(笑)。

今朝の鎌倉。車も殆ど通っていなかったので、とても静かで風情がありました。
(上の写真でちょっと見にくいのだが、鎌倉には「雪ノ下」という素敵な地名があります。)

人それぞれ

音楽にどう反応するかは本当に人それぞれである。精神が不安定な時には音楽もマイナス効果があったりするので、音楽家としては色々な人がいる事を謙虚に受け止めなくては、と思っている。

20代の頃に三島由紀夫の小説を読んだ方がいいと思い、いくつか読んではみたものの、文章が私には堅過ぎてあまり好きにはなれなかったし、今では何も内容も覚えていないのだが、「小説家の休暇」という本の中でとても印象に残っていた箇所があり、ずっと頭の片隅にあって考えさせられている事がある。この「小説家の休暇」は日記形式で書かれており、文学、絵画、音楽に関しての芸術論が満載で三島由紀夫の書き物の中では唯一興味を持てた本なのだが,音楽に関しての事が数行だけ書かれていて、それが20代の私にとっては相当衝撃的だった。

ちょっと抜粋して書かせて頂くと:


「・・・音楽というものは、人間精神の暗黒の深淵のふちのところで、戯れているもののように私には思われる。こういう恐ろしい戯れを生活の愉楽にかぞえ、音楽堂や美しい客間で、音楽に耳を傾けている人達を見ると、私はそういう人達の豪胆さに驚かずにはいられない。こんな危険なものは、生活に接触させてはならないのだ。・・・」


そして、面白い事に数日後の日記に「書き足りない事があった」と、また音楽の事に触れている:


「・・・たとえば人間精神の深淵のふちで、戯れていると云えば、すぐれた悲劇もそうである。すぐれた小説もそうである。なぜ音楽だけが私に不安と危険を感じさせるかといえば、私には音という無形態に対する異様な恐怖心がある。・・・」


自分にとって音楽がある生活が当たり前だっただけに、これを読んだときはかなりショッキングだった。三島由紀夫は「強さ」のイメージが先行してしまうが、とてつもなく繊細だったのではないだろうか,と思ったり...。でも、「ここまで思う人もいるんだ」と、いう事が目からうろこでした。

ちょうどこの本を読んだ頃に実生活でも音楽全般が嫌いという人に出逢ったり、私自身もその後に精神的な暗黒時代に音楽を聴いて超ネガティブリアクションを起こした事があるので、音楽に関してはやはり気をつけなくてはいけない面もあるように思う。

音楽に毎日触れる事によって大きな喜びを得ている自分だが、全ての人がそうではない事も自覚しなくてはいけないと思っている。