Thoughts

January 2012

釜石1月:冬の釜石

%E9%87%9C%E7%9F%B3%E6%B5%B7_resize.jpg今年は全国的に寒いと思うのだが、この時期の釜石はさすがに寒かった。寒がりで知られている私だが、他の方も相当防寒対策をして来ていました(笑)。
私は化繊が苦手で、ヒートテックのようなハイテクな防寒が出来ないため、綿とウールを7枚(下は4枚!)パンパンに重ね着した上にダウンコートを着たまま作業していたが、他の方でヒートテックを3枚重ね着した上にセーターにコートを着ていた人もいたので、みんな同じように万全の態勢だったよう(笑)。ホカロン50個持って来たという人もいたし。

%E7%A5%88%E3%82%8A%E5%BA%83%E5%A0%B4_resize.jpg今回の活動、一日目は「心のケア」。
仮設住宅の集会室での喫茶スペースを設けての傾聴が目的の活動。
今回は多くの方が来ていらした訳ではなかったが、逆にとても親密な感じで現地の伝統料理や小正月の風習や子供の頃の釜石の話を、一緒に折り紙をしながら色々と聞く事が出来ました。

釜石に着いた時に雪が積もっていないのが意外だったのだが、訊いてみたら、雪が降るのは3月、春の頃だそう。

おばちゃんが「早く春が来て欲しいね〜....。津波を思いだすから嫌だけど....。でもやっぱり春は早く来て欲しいね〜。」と複雑な思いを明るい声で話していました。

釜石1月:言葉の力

今日ラジオを聞いていたら、鎌倉で先日行なわれた福島出身の詩人の朗読会について話していた。詩人のインタビューもあり、震災後、言葉がいかに力を持ち、光を放つものとなり得るかを話していた。私自身もつくづく同感である。言葉が本当に重みを持つようになっているのは、発する方も受け取る方も「人」に対して敏感になっているからのように思う。

12-01-20_09-08_resize.jpg先週また釜石に行ってきました。生徒のレッスンがお休みになり、急遽行ける事になりました。今回行こうと思った大きな理由が「言葉」による後押しでした。

2週間程前から釜石ボランティアベースキャンプのブログでボランティアの数が激減している事が書いてありました。募集を何度も呼びかけていて、ある日のコメントに「身も心も寒いです」と私もお世話になったスタッフのIさんが書いていました。スタッフの中でもとても明るく元気な方だったので、この言葉が本当に心にズンと来てしまいました。すぐにでも行って少しでも力になりたいとは思っても、仕事を放っていく余裕はないので、ボランティアの方が増えるように祈っていました。

その何日か後の日曜日。教会に行くと神父様のお説教が、福島の教会を訪れ、避難していらっしゃる方達の深刻な状況のご報告でした。福島の農家の方が生き甲斐をなくし、本当に悲しい事態を引き起こしている事を聞かされました。「私たち一人一人に何が出来るのか」を考えなければいけない、と。

日曜日の夜に生徒のレッスンが無くなった事が分かり、これだったら短くても数日間だけでも行けるかもしれない、と思ったものの、あまりに急だったので心の準備がなかなか出来ず躊躇していたのだが、最後の一押しが月曜日に。

月曜日にレッスンに行く用意をしながらラジオを聞いていたら「明日は防災とボランティアの日」なんて大々的に特集を組んでいました(笑)。これはもう「行くしかない」と。

無謀ながら、夜遅く仕事から帰って来た後に仙台のボランティアセンターに翌日の火曜日からのボランティア希望のメールを送りました。本来は一週間前に希望を出さないといけないので、ダメ元でしたが、その日もベースキャンプの人数がとても少ないのをブログで見ていたので、少しの希望を持って眠りに着きました。

朝、すぐにメールをチェックしたが、返事は来ていません。
30分毎にチェックしていたのだがやはり何も返信がないので、これはやはり無謀過ぎたと反省し、「正午までにお返事がなければ、今回は諦めてまた次回お願い致します。」と再度メールしました。

一応行けるように何となく荷造りはしたのだが、今回は見送りだな〜と思い、その日に会いたいと云っていた友人に「正午に返事出来る」とメールを送り、呑気にピアノの練習をし始めました。行かないとなると、体の緊張もほぐれて来て、少し気持ちにも余裕が出て来ました。

そして、もうすぐ正午だな〜なんて思っていた11:57に電話が。
仙台サポートセンターからでした。人数がかなり少ないと云う事と、リピーターという事で要望を受け入れて下さいました。

急遽、一時間後に出発する事となりました!何となくの荷造りはやはり何となくに過ぎず、それから走り回って準備しました。忘れ物もいっぱいあったが何とか無事に出発出来ました。

%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E5%BB%BA%E7%89%A9_resize.jpg今回の活動期間は2日だけ、と短かったが本当に行けた事に感謝しています。あまりに急に決まったため、いつも事前にベースキャンプにしている電話も新幹線を降りた新花巻からしました。電話口に出たのは、ブログを書いていたIさん。明るい声で「お待ちしています!」と云って下さり、めちゃくちゃ寒かったにも関わらず、心がホッと温まりました。

今、少し人数が増えているそうですが、またしばらくすると釜石ベースは閑散期に入るそうです。もし体も健康で、少しでもお気持ちがある方がいらっしゃいましたら、ぜひいらして下さい。まだまだ人手は必要だそうです。心のケアが中心の活動です。「カリタスジャパン」のサイトでボランティアを応募しています。

今回は二日だけしか行けず、私がここにいる事は役に立っているのだろうか?とも思ってしまったりもするのだが、現地で云われた言葉にとても救われました。

「微力は無力とは違う」と...。


イギリス気分

最近ブログを書く習慣からすっかり遠のいてしまっていて、なかなか書くのに気力を要するようになってしまった。新年に入る前から、今年は色々と身辺を整理して本当にピアノに集中しようと思い、まずは家の大整理から始まり、自分の生活も随分とシンプル化する事が出来てきたように思う。ホームページも色々と心機一転したいのだが、まだそこまで辿り着いていないので、そこはもう少しお待ち下さい(笑)。

実は昨年の暮れに知り合いの方に去年一年間のコンサート前の精神状態があまり良くなかった事を話したら「努力が足りないんじゃないの?」と云われ、一瞬カチンと来ながらも、よくよく考えてみたら、確かにそうかもしれないと思いだしました。一生懸命にやっている所は一生懸命なのだが、実際に自分が目指しているものに向かっての努力はしていたかと考えてみたら、そこが意外にも抜けていた事に気付きました。なので、今年は「努力の年」にする事にしました。

面白い物で、目標を定めて努力し始めて間もないが、もう既に手応えがあり自分のピアノがみるみる変わっていくのを実感している。今はコンサートがない事を良い事に、デッドラインを気にせずに自分の目指しているものを追求する時間に充てている。休んでいる訳ではないので、次回のコンサートをお楽しみに!

%E4%BF%B3%E5%84%AA%E5%BA%A7_resize.jpgそんな中、昨日俳優座で「カラマーゾフ兄妹」を観に行きました。俳優座は初めてだったのだが、六本木の真ん中に建っている古めかしい建物が不思議な雰囲気を醸し出している。初めてだったので早めに行って場所を確かめようと思ったら、待ち合わせをした友人も早く来ていたので二人で早速中へ。ロビーの奥の方にはイギリス風のパブがあり、フィッシュ・アンド・チップスがイギリスのお酢と共に出て来て何だか本当にイギリスにいるよう。天井も低く、照明も何となく暗い感じがちょっと野暮ったいのだが、とても懐かしい感じですっかりいい気分になってしまいました。

そして、肝心の劇。音楽も演出も演技も素晴らしく、ドストエフスキーもきっと喜んでいたに違いないと思う。ドストエフスキーの素晴らしさがまず伝わって来るのだが、それぞれの人物像がとても分かり易く描かれていて、複雑な心理描写や物語展開が自然にすんなりと入って来ました。

演劇は好きで日本でも若い頃から今では伝説的な野田英樹さんの「夢の遊民社」から始まり、シェークスピアや小劇場での演劇も随分と観て来たが、いつもいつも何か違和感を感じてしまい、感動どころか、共感すら出来ないでいた。なので、日本で自分で切符を買って演劇を観に行く事はしなくなってしまいました。それが、今回初めて劇に入り込めただけでなく、本当に圧倒されました。演技が自然で、音楽やダンスもロシアっぽいのに、それが全く嘘っぽくならずに、こちらが逆に本当にロシアにいるような、そしてこちらもロシア人としてこれを観ているような錯覚に陥りました。

そして、もちろん一番凄いのはドストエフスキー。人間の美しさ、醜さ、全てを見据えて、そして尚も愛すべき人間として描いている所に感動してしまいます。愛すべき人間に描いているからこそ、何だか最後はなぜかとっても悲しくなってしまったのだが。。。でも、一緒だった友人は逆に「希望を持った」と云っていたので本当に人それぞれですね(笑)。

22日までやっているそうなので、ぜひ機会があったら皆様、観にいらして下さい!

%E7%94%B0%E4%B8%AD%E7%BE%8E%E5%A4%AEresize.jpg余談だが、終演後、ロビーに俳優さん達がいらしていて、直接お話する事が出来ました。何と云っても主人公のドミートリー役の田中美央さんに感動してしまったので(というか役に感動しちゃっていたのだが)随分とあれこれと役について話し込んでしまいました。なかなかドストエフスキーについて深く話す機会もないので、このお話もとっても楽しかった。

着いた時のパブから始まり、そして演目の「カラマーゾフ兄妹」、そして最後のドストエフスキーの人物像から見る人間談義。本当に久しぶりに心が大満足した一夜となりました。

ドミートリー役の田中美央さん。→
こんなに優しそうでにこやかだが、劇中では相当荒々しい役所。このギャップにまたまた感動!

2012年

世界中の人達にとって2012年が良い年になりますように。。。
特に日本にとって、笑顔の人が一人でも多く見られる年となりますように。。。