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May 2009

イギリス色々:センスの善し悪し

                             素敵な帽子屋さん
Hat%20Window_resize.jpg日本のお店のショーウィンドーは無難にセンスが良いような気がする。大感激する事も少ないが、「これは何?」と思う程ひどいものもないように思う。
(ちなみに日本で一番好きなウィンドーは銀座の資生堂ビルと和光。)

イギリスはそこへいくと本当にセンスの差が激しいように思う。小さなお店でも、うっとりするようなウィンドーもあれば、全然やる気のなさに笑ってしまう所も。ロンドンでいつもその斬新さにハッとさせられるのが、「Harvey Nichols (ハーヴィー・ニコルズ)」というファッションビルと紅茶で有名な「Fortnum&Mason (フォートナム&メーソン)」。素敵すぎて、見ずにはいられません(笑)。

そうかと思うと、「ウィンドーない方が...。」と思うお店もいっぱい。今までで一番ショッキングだったのはブライトンの目抜き通りにある古本屋。相当大きなお店で壁全面がガラス張りだが、本が山積みと云うよりも、山となってそこら中に散らばっている。pajama%20window_resize.jpgおまけにプライトンに住んでいる友人に聞いたら、何十年とそうなっていって、それで有名な本屋らしい。衝撃がありました(笑)。

これだけセンスの差があると、ショッピングをしなくても、ウィンドーを見ているだけで相当楽しめます。それぞれにそのお店の個性というか、そのお店に携わっている人間を垣間見ているようで本当に面白い。


←ベッドのお店
何もかもがおかしい...。


イギリス色々:Harrods

                              ケーキ売り場
Harrods%20Cake_resize.jpgイギリスの豪華なデパートと云ったら、やはりハロッズになるだろうか。以前は伝統的な感じのお店だったが、やはり1〜2年前までのロンドンのバブル景気と経営者の交代で相当趣向が変わってしまった気がする。しかし、相変わらずいつも感激するのはFood Hall (フード・ホール)と呼ばれる食品売り場。とにかく室内が素晴らしい。良く写真を撮っている人がいるが、本当に芸術的に美しい。床も壁も天井も装飾してあるし、ショーケースも並んでいる食材の数が半端でないので本当に豊かな気分になってくる。
Harrods%20Cheese_resize.jpgチーズだけでも100種類以上は並んでいるように思う。肉、魚やソーセージやケーキ、チョコレートや紅茶もしかり。見ているだけでとても勉強になります(笑)。日本も世界中の食品が手に入って凄いと思うが、ここの食材そのものの充実には目を見張るものがあります。

←チーズ売り場
とてつもない数の種類が並んでいる。
聞いた事も無いチーズの名前を見ていくだけでも面白い。

イギリス色々:Selfridges

Slf%201_resize.jpgSlf%205_resize.jpgSlf%204_resize.jpgロンドンにいくつかデパートがあるが、それぞれに個性がはっきりしていて楽しい。
客層を絞り込んだウィンドウのディスプレイや内装は本当に見事。Oxford StreetにあるSelfridges(セルフリッジ)は数年前に大改装をして、最先端路線の相当ヒップなお店に変わり果てた。本当に洗練されていて、デパートなのに天井も高い上にスペースを贅沢に取ってあるのでぶらぶらと歩き回るだけでも楽しい。
Slf%20Pink%20Armour_resize.jpgSlf%20hall%20way_resize.jpgSlf%20Candles_resize.jpg
超派手な外のウィンドウとは対照的に内装はシックでモダン。
冷たい感じにならないのはユーモアのセンス?ピンクの鎧がかわいい(笑)。
シャンデリアや壁に直接書いてある絵のデザインもとっても素敵。

イギリス色々:新しい驚き

                            右端で頑張っている(笑)
MTV1resize.jpgイギリスに来ると毎回何かしら新しい発見があります。昨日のブログのように、ずっと変わらないものもあれば、進歩も常にある国のような気がします。

今回の旅行での一番の驚きはテレビから来ました。
MTVのようなミュージックビデオばかりを流すチャンネルがいくつかあるが、その一つがある時間帯に手話付きのものを流していました。聴覚障害の方に音楽を体験出来るように色々と考えられて来ている話は耳に入って来るが、ミュージックビデオの歌詞を手話で伝えるという発想には驚いた。MTV%202resize.jpg手話をしていたのは男女一人ずつだったが、ノリノリで踊りながら手話してくれるので、きっと音が聴こえなくても相当ノレる気がします。

障害のある人が社会の中で確固たる地位を持っていて、いかに健常者同様に充実した生活を送れるように出来るかに当たり前のように力を注いでいる国ならでは、と本当に感動します。

←ぽっちゃりしたおばさんも踊りながら手話。
楽しい(笑)

イギリス色々:手動ドア

                           ドアに貼ってある開け方説明
Train%20door%20instructions_resize.jpgイギリスは一見、合理主義のようだが、逆に「こんなに不便なのに!」と思う事がずっと改善されないことも多々あってそのアンバランスさが面白い。

タクシーに関しては、あの有名な「ブラックキャブ」というのは何十年と形が変わっていないらしいが、理由は改善する必要がない程に完成されているかららしい。確かに、中は折りたたみの椅子が二つあるので、最大人数は5人まで乗れるし、人が多くない場合は大荷物が乗せられる程に広々としている。

一つ不便でいつもどうにかならないものか、と思うのが銀器のティーポット。取っ手の部分まで銀なので暑くて持てません(笑)。なので、みな布ナプキンで柄をくるんで注いでいます。それも、何だか優雅な気分にはなりますが...。

そして、毎回イギリスに来て「まだこういう電車もあるのか!」と驚いてしまうのが、自分で開けなくてはいけない手動ドアのもの。もちろん電動式の自動ドアの電車も大分見掛けるようになったが、今回のヘレフォードから帰って来る電車はこの手動ドア付きのものでした。実は、このドア、中からは開けられません。Train%20door_resize.jpgどうやって開けるかというと、何と窓を下げて、外に手を出してドアの外側に付いている取っ手を回すのです(笑)。初めてイギリスに来た時はそのやり方が分からず、危うく降りるはずだった駅で降りられなくなりそうになったが、今では説明書きが貼ってあります。(おまけに注意書きには「駅によっては電車よりもプラットホームの方が短い場合もあるので、プラットホームがある事を確かめてからお降り下さい」と書いてある。笑)この電車に乗るとイギリスにいる実感がします(笑)。

←外側にしかないドアの取っ手

イギリス旅行記:小さな前進 Ⅲ(心の真理)

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しつこいようだが、またさらに一昨々日の続き(笑)。

日本に帰国後にさらに自分の反省点を浮き彫りにしたテレビの番組を見ました。

白隠禅僧が生涯を通して描いたダルマ像を取り上げた番組だったが人生を歩んで行く上での発展が絵に表現されていてとても面白かった。一番興味をひいたのは、若い頃には描かれていなかった「心」という字が絵の一部として描かれている事。解説の中で、「彼は一生、心の真理を追究し続けた」と云っていたが、まさに自分が今回最後の最後でおろそかにしていた事だったと思います。

このブログを書くのに、百隠の事をちょっとネットで調べてみたが、五百年に一人の名僧だったらしい。悟りを開いても、尚も修行を続ける重要性を説いたらしいが、本人は36回も悟りを開いたと書いてあって思わず笑ってしまった。この一生で一回ですら悟りを開けなさそうなのに...(笑)。

コンサートの準備や練習自体をおろそかにしていた訳ではないが、内容に問題があった。いつでも「真理」を追求し続ける事を忘れないようにしなくては。

イギリス旅行記:小さな前進 Ⅱ ( 旅を続けろ)

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Hereford%20fields_resize.jpg昨日書いたブログの続きになるが、日本に帰ってからコンピューターの前に座ると、以前に書き記したメモにはっとしました。書類がごちゃごちゃしていながらも、すぐに目に付く所にあって、今回のコンサートの反省点を言い当てていてびっくりしました。何から書き写したのかさえも覚えていないが、今後同じ過ちを繰り返さないようにしたい。(日本語と英語と両方を書き留めていたが、英語の方が原文の気がします。)

「何をするにも旅を続けて、行き先に満足するな。どこかで満足したら、それで終わりだ。
可能性は現状より大きい」

"Whatever you do,always travel
but never agree to arrive anywhere.
The minute you think you've got it
then you're gone.
Because it's always bigger than whatever you have."

イギリス旅行記:小さな前進

                               Primrose Hill
Chalk%20Farm_resize.jpgロンドンにいる間に一回だけレストランへ。Primrose HillにあるOdettesというモダン・ブリティッシュの素敵なレストランに友人のTが招待してくれました。

コンサートも聴きに来てくれて、直後に色々と話したお陰で自分の中で今回のコンサートの事が頭の中で整理出来始めていた。今回のディナーは少し間を置いていた事もあり、コンサートの夜に話した事も消化した状態で再び話し合えたので、色々とクリアになった事が多かった。

実は、今回のコンサートの自己評価と云うのが珍しく出来ないでいた。いつもは観客の感想や反応とは別に、自分が掲げている目標や目指している物に対して、どれくらいの事が出来たかで自分の評価を出せていたが、それが今回は自分の中での出来不出来の実感がなかったので不思議に思っていた。

Tomoaki%20Dinner_resize.jpgしかし、これもTと話して謎が解けました。今回のコンサートはいつもとは違う準備の仕方をしていました。というのも、曲数が多いだけでなく新曲も多かったので、「弾き込み」という名目で最後の2週間程は細かい練習よりも「通して曲を弾く」という練習が多くなってしまっていた。これもとても必要な事だが、この練習に満足していたがために掘り下げるという作業を(今振り返ってみると)おろそかにしてしまっていた気がします。Tもこのような練習をしてレッスンに持って行ったら先生に「何かがおかしい...。」と云われ、結果的に演奏としては安心感は得られたものの「失ったものが多すぎた」と云っていた。自分もまさにその道を歩んでしまった。

クラシック音楽の凄い所は、音楽の中の意味(真実)は幾ら追求しても追求し切れない所にあると思っている。「今日、ついにこの真実に辿り着いた!」と思っていても、明日にはまた明日の真実が出て来るのである。おまけに今日のうちに、今日の真実を追究し切ろうとしない限り、明日の真実も出て来ないので毎日が一生懸命である(笑)。

今回の失敗は、コンサートの2週間程前で、私はこの追求をもうやめてしまい、その時点で辿り着いたものを固めていく方向でコンサートに向かってしまった。結局、演奏としての完成度を目指し過ぎて、守りに入ってしまったのです。鮮度が命だった自分の演奏とは違うものを目指してしまい、そしてさらに最終的な完成度もいつもとあまり変わらなかったので、自分としては評価のし所がなかった訳です。もちろん今後のコンサートにこの経験は生かせるので、無駄な事ではなかったと思っているが、珍しく後悔の念の残るコンサートとなりました。(いつもは反省はする事はあっても後悔する事はほとんどなかった...。)

自分の演奏を良く知っている友人との交流で、自分をもっと良く知る事が出来ます。音楽の道は長く、迷ったり、道を間違えたりもするが、信頼できる友人の導きによって自分の目指している道を再発見する時もあります。全然音楽的なタイプは違うのに、お互いの音楽を尊重して、励まし合える仲間がいて、本当に感謝です。

Tと話せたお陰で、今回のコンサートをしっかりと整理して心と頭に留める事が出来ました。コンサートの内容自体は大きなステップとはならなかったとしても、今回学んだ事は次のコンサートのための大きなワンステップになったと思っています。

イギリス旅行記:A View from the Bridge

Duke%20of%20Yorks_resize.jpgせっかく来たロンドンなので、唯一夜に予定を入れていなかった日に演劇を観に行く事に。

今回はA.ミラー(マリリン・モンローの夫としても有名)の「A View from the Bridge」という近親相姦を匂わせる愛憎劇。主人公の役者Ken Stottに対しての批評が素晴らしかったので、この劇に決めたが、本当に素晴らしかった(笑)。相当に深刻で重い内容だが、開演の前に「俳優陣は感情的にとても神経を使うので、どうぞ静かにご鑑賞下さい。」との放送があった。今までも色々と深刻な劇を観て来たが、このような前置きのアナウンスは初めて。

後から履歴を見たら、主人公が以前に映画で観て好きだった俳優だったのを発見したのだが、強烈な素晴らしい演技だった。

私は今回のコンサートを振り返って、色々と考えさせられる事があったが、その一つに準備の最終段階で相当精神的に辛くなってしまっていた事が気になっていた。こういう状態になってもコンサートをするべきなのかと自問自答していたが、このKen Stottの演技を観て、相当自分の中での答えは出た気がします。

A%20view%20from%20the%20Bridge_resize.jpg色々な音楽家がいて、楽しく、日常生活の延長で演奏出来る人もいると思うが、やはり自分はそうではないし、自分が音楽に求めているのは、自分にとっては簡単に手に入る物ではない事を再認識しました。掘り下げに掘り下げて行って追いつめられた状態に存在する世界があって、そこに自分は感動したり、人が感動したりするのだと思う。

Ken Stottの演技には観客として大感動しつつ、「自分の魂も心もヘズッてまで毎晩舞台に立つのはさぞかし大変だろう...」と思わずにはいられなかった。本当に鶴の恩返しのよう。凄い俳優だと思う。彼を見て、「自分が求めている音楽もきっとここまでしないと辿り着かないのだろう」、と確信して、勇気が湧いて来ました。人をあれだけ惹き付けて、感動させられるものが今の自分ではまだ出来なくても、目指したいとは思う。

余談だが、この日は高校生と思われる子達が団体で来ていた。あれはきっと学校の引率だと思うが、こんなに素晴らしい演劇(内容も俳優陣も)をこんなに若い時から見れるというのが本当にうらやましい。選択肢のいくらでもあるロンドンなのに、こんなに深刻で重い内容のものを選んでいるところも凄いと思う。終わってからの観客全体が興奮状態だったが、年齢問わず、ずば抜けて良い物はちゃんと伝わっている事を目の当たりにしました。

イギリス旅行記:ロンドンから

イギリス人としても大きいJ君
%20J%26M_resize.jpgヘレフォードからロンドンへ。コンサートが終わって、帰国まで4日間。飛行機がいっぱいで希望日が取れなかったために、結果として余裕のある日程となりました。
「少しゆっくり出来る!」と、思っていたにも関わらず、やはり色々な人に会っているうちにあっという間に時間が経ってしまいました。

J%26C%20Star%20Wars_resize.jpg代子のIちゃん、J君家族にそれぞれ会いに。数ヶ月毎にしか会えないので、その成長振りにいつもはっとさせられる。Iちゃんは学校の宗教の宿題のリポートをすらすらと万年筆で夕食を食べながらあっという間に書き上げて、私も知らない事を色々と教えてくれました(笑)。

J君は会った途端に「もうすぐ同じ背の高さになるね!」とはしゃいでいた。今、学校ではスター・ウオーズ(クローン戦争?)が大流行りらしく、家ではずーっと仮面をかぶったまま。顔があまり見れなくて残念(涙)。こちらも事細かに、スター・ウオーズの登場人物を教えてくれたので、相当新しい知識が増えました(笑)。

F%26A%26R_resize.jpgそして今回どうしても会いたかったのが、オックスフォードに住んでいるF。去年の夏に会った時に婚約して、秋に結婚したF&Aに赤ちゃんが生まれていました。妊娠している事も知らなかったので、コンサートが終わった翌日に電話した時に発覚。相当びっくりしました(笑)。なので、「生まれたてで睡眠不足だから会えないかも...」と云われたにもかかわらず、「30分で帰るから、顔だけでも見たい!」と押し切ってオックスフォードまで会いに。

とにかく、ロンドンから毎日電車で郊外の方まで色々な友人達に会いに行っていたが、コンサートも終わって、思いっきり羽を伸ばせる楽しい時間でした。

  二人から三人に!

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