Thoughts

September 2015

清々しい気分

M%E5%85%88%E7%94%9F_resize.jpg芸術の秋にふさわしく、コンサートに行く事が多い。
今日はオーボエのNさんのオール・モーツアルトのリサイタル。ピアノとのデュオや弦楽器とのアンサンブルだったが、それはそれは充実した内容でした。
音楽作りがとても丁寧で、聴いていてとにかく気持ちがいい、心地いい。数年振りにMさんの演奏を聴いたが、音楽が雑になる事無く、アンサンブルも派手さを追いかけず、音楽に対する誠実さが伝わって来て、音楽的センスも素晴らしい。
共演者との息もぴったりだし、とにかく付け焼き刃でない、念入りに丁寧に(でも、だからこそ音楽が延び延びとしていて自由!)作り上げたリサイタルで、本当に清々しい気分でホールを後にしました。

最近、色々な人のコンサートに行くので、演奏だけではないところでも色々と思う事が。演奏中のMさんもピアニストのSさんもとにかく品があって、見ていても気持ちがいい。楽器や音楽に対しての身体の使い方もそうだが、楽譜をめくる仕草一つでもその人の品格が出るな〜と思う。
都内ではなく、こんな近い逗子でこんないいコンサートを聴けたのはとっても得をした気分。

魂の活性化

                               美しい二人!
Midori%26Rose_resize.jpg久しぶりのブログになってしまいました。アメリカの事も色々書きたかったし、帰って来てからも色々と刺激を受ける事が多くて、書きたい事はいっぱいあるのだが...。

最近のピアノ/音楽の追求傾向としては、出来る限り自分の感じる事や思う事を、感じるままに思うままに、言葉にしたくないという事もあって、それもブログを書かない原因の一つにはなってしまっているのだが、今日はそれでも、書きたい気持ちの方が大きくなりました。

今日は友人のMちゃんがイギリス在住のヴァイオリニストとのコンサートがあったので、三鷹まで。ヴァイオリニストのローズ・シェンさんは弱冠21歳。事前にMちゃんから「凄い!」と聞いていたのだが、本当に素晴らしかった!楽器を完全に弾きこなしているからだと思うのだが、ただただ聞こえて来るのはヴァイオリンの音色ではなく、「音楽」。これこそが「音楽」なんだという事を思い出させてくれて、本当に嬉しくなりました。Mちゃんの貫禄あるピアノとのコラボレーションで本当に聴き応えのある素晴らしいコンサートでした。

おまけだが、終わった後にイギリスから付いて来たローズちゃんの先生とお話をする機会があったのだが、ローズちゃんとは違って「音楽」が聞こえて来る演奏家は本当に少ないと嘆いたら、それは今に始まった事ではなく、ヨアヒム(ブラームスと同時代のヴァイオリニスト)もそれを嘆いていた、という話やモーツァルトがロンドンやウィーンの観衆をどのように思っていたかの辛辣な感想など、初めてお会いしたのに、それはそれは内容の濃い15分を一緒に過ごす事が出来ました。

魂が活性化された、とても充実した土曜日の午後になりました!

寿命を5年分

アメリカ滞在中はクラシック音楽に限らず、音楽自体をほとんど聴く事がなかったのに、帰って来てから一週間の間に5回もコンサートに行く事に。一気にまた音楽の世界に引き戻されました。ニューヨークでは練習も出来るので、ピアノの音を聴く事は皆無ではなかったが、帰って来て、耳が異常に敏感になっているのを感じて面白い。
生徒さんの出すピアノの音が最初は突き刺すように大きく感じたがそれも、一週間程すると慣れて来て今では全く違和感がない。音が新鮮に感じられるので、たまには音楽のデトックスもいいのかもしれない。

色々なコンサートを聴いて、たくさんの刺激をもらっているが、中でも凄かったのが、オペラシティーでのAYO(アジアン・ユース・オーケストラ)のコンサート。毎年、ご招待で聴かせて頂いているのだが、今年は指揮者が私好みだったせいか、私にとっては今までの中で断トツに良かった。若いオーケストラの魅力と指揮者のキャリアの魅力の相乗効果で本当に素晴らしかった。そして、今年はコンチェルトのソリストがチェリストのスチーブン・イッセーリス。有名になる前から素晴らしいな〜、と思っていてずっとファンなのだが、今回のあまりの凄さに驚いた。熱演も熱演なのだが、情熱的だけでなく、繊細な面は限りなく繊細で魂の隅々までもを見せてくれたような演奏だった。あの一曲で彼の5年分の寿命を貰ってしまったような気がしました。超売れっ子なのに、こんな凄い演奏を毎回しているの?と心配になってしまう程。本当にありがたいものを体験させて頂きました。

このコンサートは特にそうだったのだが、やはり生の演奏はつくづく良いな〜と実感させられています。まだまだながら、自分も直接的に音楽に携わっている事は本当にラッキーだな〜と思う。