Thoughts

イギリス気分

最近ブログを書く習慣からすっかり遠のいてしまっていて、なかなか書くのに気力を要するようになってしまった。新年に入る前から、今年は色々と身辺を整理して本当にピアノに集中しようと思い、まずは家の大整理から始まり、自分の生活も随分とシンプル化する事が出来てきたように思う。ホームページも色々と心機一転したいのだが、まだそこまで辿り着いていないので、そこはもう少しお待ち下さい(笑)。

実は昨年の暮れに知り合いの方に去年一年間のコンサート前の精神状態があまり良くなかった事を話したら「努力が足りないんじゃないの?」と云われ、一瞬カチンと来ながらも、よくよく考えてみたら、確かにそうかもしれないと思いだしました。一生懸命にやっている所は一生懸命なのだが、実際に自分が目指しているものに向かっての努力はしていたかと考えてみたら、そこが意外にも抜けていた事に気付きました。なので、今年は「努力の年」にする事にしました。

面白い物で、目標を定めて努力し始めて間もないが、もう既に手応えがあり自分のピアノがみるみる変わっていくのを実感している。今はコンサートがない事を良い事に、デッドラインを気にせずに自分の目指しているものを追求する時間に充てている。休んでいる訳ではないので、次回のコンサートをお楽しみに!

%E4%BF%B3%E5%84%AA%E5%BA%A7_resize.jpgそんな中、昨日俳優座で「カラマーゾフ兄妹」を観に行きました。俳優座は初めてだったのだが、六本木の真ん中に建っている古めかしい建物が不思議な雰囲気を醸し出している。初めてだったので早めに行って場所を確かめようと思ったら、待ち合わせをした友人も早く来ていたので二人で早速中へ。ロビーの奥の方にはイギリス風のパブがあり、フィッシュ・アンド・チップスがイギリスのお酢と共に出て来て何だか本当にイギリスにいるよう。天井も低く、照明も何となく暗い感じがちょっと野暮ったいのだが、とても懐かしい感じですっかりいい気分になってしまいました。

そして、肝心の劇。音楽も演出も演技も素晴らしく、ドストエフスキーもきっと喜んでいたに違いないと思う。ドストエフスキーの素晴らしさがまず伝わって来るのだが、それぞれの人物像がとても分かり易く描かれていて、複雑な心理描写や物語展開が自然にすんなりと入って来ました。

演劇は好きで日本でも若い頃から今では伝説的な野田英樹さんの「夢の遊民社」から始まり、シェークスピアや小劇場での演劇も随分と観て来たが、いつもいつも何か違和感を感じてしまい、感動どころか、共感すら出来ないでいた。なので、日本で自分で切符を買って演劇を観に行く事はしなくなってしまいました。それが、今回初めて劇に入り込めただけでなく、本当に圧倒されました。演技が自然で、音楽やダンスもロシアっぽいのに、それが全く嘘っぽくならずに、こちらが逆に本当にロシアにいるような、そしてこちらもロシア人としてこれを観ているような錯覚に陥りました。

そして、もちろん一番凄いのはドストエフスキー。人間の美しさ、醜さ、全てを見据えて、そして尚も愛すべき人間として描いている所に感動してしまいます。愛すべき人間に描いているからこそ、何だか最後はなぜかとっても悲しくなってしまったのだが。。。でも、一緒だった友人は逆に「希望を持った」と云っていたので本当に人それぞれですね(笑)。

22日までやっているそうなので、ぜひ機会があったら皆様、観にいらして下さい!

%E7%94%B0%E4%B8%AD%E7%BE%8E%E5%A4%AEresize.jpg余談だが、終演後、ロビーに俳優さん達がいらしていて、直接お話する事が出来ました。何と云っても主人公のドミートリー役の田中美央さんに感動してしまったので(というか役に感動しちゃっていたのだが)随分とあれこれと役について話し込んでしまいました。なかなかドストエフスキーについて深く話す機会もないので、このお話もとっても楽しかった。

着いた時のパブから始まり、そして演目の「カラマーゾフ兄妹」、そして最後のドストエフスキーの人物像から見る人間談義。本当に久しぶりに心が大満足した一夜となりました。

ドミートリー役の田中美央さん。→
こんなに優しそうでにこやかだが、劇中では相当荒々しい役所。このギャップにまたまた感動!

entries

categories

archives