Thoughts

February 2016

クラシックの真髄

今日は本当にいいものを聴き/観ました。

%E5%AE%89%E7%94%B0%E6%AD%A3%E6%98%AD%E3%81%95%E3%82%93_resize.jpg20年程前にイタリアのコンクールで一緒になった安田正昭さんのリサイタルが上野の東京文化会館でありました。(それにしても、やはり文化会館の小ホールは雰囲気があっていいですね。)ブログにも書いたが、数年前に音楽情報誌で安田さんのリサイタルの広告を見付けて聴きに行ったら、あまりに素晴らしくて大感激。最後に弾かれた「展覧会の絵」は圧巻で、あのただでさえ高い小ホールの天井が吹き飛んで天を仰いでいるかのような演奏でした。

なので、今回もまた偶然に見付けた広告でいそいそと出掛けて行きました。素晴らしいのは分かっているのにまたもやぶっ飛びました(笑)。超自然体なのに淡々と凄い事をやってくれているのだ。情熱的で、思慮深く、詩的にして知的な演奏。甘さや自己陶酔が全くないのに温かみがある。人間に本来備わっている全ての要素が最大限に無理無く音楽を通して聞こえて来る。
コマーシャリズムに侵されたコンサートが多い中、こんなにもクラシック音楽と真剣勝負をしているコンサートは少ないように思う。これこそがクラシックの素晴らしさなのだ!と思わせるリサイタルでした。「飽きないよね」と隣に座っていた人が云っていたが、本当にそうで、奇抜ではないのに、即興に近い完全に自由な演奏で、次に何が来るのかが全然予測がつかない。それなのに音楽がちゃんと見えて、分かりやすい。弾く姿も美しく、色々と動き回って弾く人は何なんだろう、という気にまでなって来てしまいました。

終わってからの皆さんとのご挨拶もとても真摯で、一人一人と堅い、厚い握手をされていました。見た目が柔らかいだけに、その情熱的な演奏には驚かさられるのだが、音楽家として、人間としての良い所取りで本当に羨ましい限り。

しょっ中、リサイタルをする方ではないが本当に純粋にクラシックの素晴らしさを体験したい方はぜひ安田さんのコンサートをチェックして下さい!

金澤翔子展

今年に入ってもう2月になってしまいました。
昨年の11月、12月は異常に忙しく、やっとの事で一日一日をこなしている感じだったが、祈りの深いクリスマスと静かなお正月を過ごす事が出来て、心身共にリフレッシュして今年はいいスタートを切る事が出来ています。
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今年の目標は色々とあるのだが、ピアノの上では「開く」ということが目標と思っています。昨年のリサイタルのDVDをやっと勇気を出して、暮れに少しだけ見てみたら、一年半程修行と思って閉じこもっていた事で音楽も閉じこもり過ぎて陰に入ってしまった事にショックを受けてしまいました。発信するのとはまた違うのだが、とにかく心も身体も音楽も外に向けて「開いて」いるように心掛けています。

そんな中、昨日北鎌倉の円覚寺さんでやっている、金澤翔子展に行ってきました。大河ドラマの「平清盛」の字を書いて有名になったらしいが、とにかく圧巻でした。私の背丈程ある屏風に字が一つ。二つ。凄いオーラを放っていました。字の生命力がほとばしっていて、訴えて来るものが凄い。たくさんのパワーを頂いて来ました。
%E9%87%91%E6%BE%A4%E7%BF%94%E5%AD%90%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%A8_resize.jpg昨日は本人もいらしていたので、記念本にサインして頂いたのだが、その純粋で透明な目と真っ赤なマニキュアにドッキリ。見た目は華奢な手で、サインする時の手が実に美しいのだが、握手して頂いたら、意外と骨太で、あの繊細さと力強さを兼ね備えた字はここから来るんだな、と妙に納得しました。

鎌倉は色々といいイベントをやっているのだが、宣伝が下手なのか、わざとなのか、意外と何をやっているのかが知られていない。静かに見れていいのだが...。昨日もツアーの人がいたからまだ10人程いたけれど、こんなに素晴らしい書なのに、人が少なくて勿体ない。。。2月12日までやっているのでご興味ある方はぜひ!