寿命を5年分
アメリカ滞在中はクラシック音楽に限らず、音楽自体をほとんど聴く事がなかったのに、帰って来てから一週間の間に5回もコンサートに行く事に。一気にまた音楽の世界に引き戻されました。ニューヨークでは練習も出来るので、ピアノの音を聴く事は皆無ではなかったが、帰って来て、耳が異常に敏感になっているのを感じて面白い。
生徒さんの出すピアノの音が最初は突き刺すように大きく感じたがそれも、一週間程すると慣れて来て今では全く違和感がない。音が新鮮に感じられるので、たまには音楽のデトックスもいいのかもしれない。
色々なコンサートを聴いて、たくさんの刺激をもらっているが、中でも凄かったのが、オペラシティーでのAYO(アジアン・ユース・オーケストラ)のコンサート。毎年、ご招待で聴かせて頂いているのだが、今年は指揮者が私好みだったせいか、私にとっては今までの中で断トツに良かった。若いオーケストラの魅力と指揮者のキャリアの魅力の相乗効果で本当に素晴らしかった。そして、今年はコンチェルトのソリストがチェリストのスチーブン・イッセーリス。有名になる前から素晴らしいな〜、と思っていてずっとファンなのだが、今回のあまりの凄さに驚いた。熱演も熱演なのだが、情熱的だけでなく、繊細な面は限りなく繊細で魂の隅々までもを見せてくれたような演奏だった。あの一曲で彼の5年分の寿命を貰ってしまったような気がしました。超売れっ子なのに、こんな凄い演奏を毎回しているの?と心配になってしまう程。本当にありがたいものを体験させて頂きました。
このコンサートは特にそうだったのだが、やはり生の演奏はつくづく良いな〜と実感させられています。まだまだながら、自分も直接的に音楽に携わっている事は本当にラッキーだな〜と思う。
少し前に読んだ伊集院静氏のエッセイに次のような事が書いてありました。
先日、ピアノの生徒達の多くが通っている学校のクリスマス・コンサートに行って来ました。相当大きなホールが満席でしたが、あらゆる国の人がいっぱいで日本にいるとは到底思えませんでした(笑)。音楽はポピュラー曲もあれば、クリスマスの聖歌やジャズもあったりと多彩で、そして朗読等もあって本当に楽しかった。こういう所でセンスの良さを痛感します。
今日、「機微」という言葉を教えてもらった。これは皆さん、普通に使っている言葉なのでしょうか?友人が会話の中で『心の機微』という表現をしていたのですが、私は初めて聞いた言葉だったので、意味を聞いてとても日本らしい言葉だなと思いました。辞書で引くと「容易に察せられない微妙な事情・おもむき」と書いてあります。これを英語辞典で引いてみたら、やはり一単語ではないですし、何となく伝わりきれていない、しっくり来ない言葉になっていました。