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言葉の重さ

BS%20Christmas%20Concert_resize.jpg先日、ピアノの生徒達の多くが通っている学校のクリスマス・コンサートに行って来ました。相当大きなホールが満席でしたが、あらゆる国の人がいっぱいで日本にいるとは到底思えませんでした(笑)。音楽はポピュラー曲もあれば、クリスマスの聖歌やジャズもあったりと多彩で、そして朗読等もあって本当に楽しかった。こういう所でセンスの良さを痛感します。


その中に20年以上前に流行って今ではクリスマスの定番曲となっている「Do They Know Its Christmas?」という大好きな曲も入っていました。イギリスでボブ・ゲルドフが当時の超有名アーティスト20名程を集めて作った曲で、アフリカの干ばつによる大ききんの悲惨な状態を世界に知らしめたあの曲です。

実はこの曲に関してのドキュメンタリーをつい先日テレビでやっていました。最初を見損なってしまったのが残念だったが、意義ある事のために集って、トップスター達が一生懸命に歌っている姿は本当に感動。おまけに、意外とみんな緊張したり、自信なくして音程が取れなくなったりしている所もあったりして凄く親近感をもちました。何万人もの前で何百回とコンサートしている人達なんだろうに...。しかし、いざ本番となると本当にみんな歌がとにかく上手くて感心してしまいました。プロなんだから当たり前なのだが(笑)。

しかし、この「Do They Know It's Christmas?」の歌詞の中で私がこの長年どうにも納得のいかない箇所があって、そこになるとどうしても『どういう事?』と首を傾げて来ました。 クリスマスの喜びを歌い上げた後に、「自分たちの恵まれた世界の外には悲惨な世界も存在している、その人達のためにも祈りを捧げよう。アフリカの人たちは今がクリスマスである事を知っているのだろうか?」という内容の歌詞が続くのだが、極めつけに、そういう悲惨な状況にあるのが『私たちではなく彼らである事を感謝しよう」という一節があります。これをU2のボノが叫ぶように歌うのだが、本当に胸を締め付けられます。どうしても私はこの一節が引っ掛かってしまっていて、色々な人に「あの一行気にならない?」と訊いて来たが「そんな事云ってた?」としか返事がなく、いつも一人で悶々としてきました。

しかし、このドキュメンタリーの中で、やはりこの一行を歌う事になったボノが「この一行だけは歌えない。他は何でも歌うけど、これだけは歌わせないでくれ」とボブ・ゲルドフに懇願したという事を話していました。ゲルドフは「この一行は君のために取っておいたんだ。この一行がこの曲で一番痛みを感じるはずだから。」とボノを説得したという話でした。確かにボノの声は心に突き刺さります...。未だにどうしてこのような言葉が使えるのか心では理解出来ていないが、歌った本人が辛く重い意味のある言葉と思って歌った事を知って、少しだけ心のもやもやはなくなりました。

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