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人間に必要なもの

先日、テレビでトルストイに関する長編のドキュメンタリーをやっていて、今まで全然知らなかったロシアのあらゆる面を見る事が出来て、とても面白かった。

トルストイの思想自体が敬虔なクリスチャン思想から根付いているもので、その元となるアーミッシュにも近いキリスト教の宗派がロシアのあちこちにコミューンを作っていたのにも驚いた。トルストイはそのライフスタイルに憧れ、そしてそういうコミューンの支援もしていた。

そして、今ではそのトルストイの思想や文学を土台として生活をしている人々がいる。
ドキュメンタリーは昨年のものらしいが、今の時代に機械を使わずに広大な大地を耕しているのを見ると、何だか逆にその人たちの内なる強さが見えて来て感動してしまいます。
10代の男の子がトルストイ全集を愛読書にしていたり、3歳の女の子の一番最初の教科書がトルストイの書いたものだったり。

一番驚いたのは、トルストイの本がロシア国内で発禁になった時に、国外で出版されたものが国内に秘密に持ち込まれ、それを人々が手で書き写した事でロシア全土に広まったらしい。
読むのでさえもあんなに大変なものをロシアの人達が手で書き写していたかと思うと気が遠くなる。ロシアの底力を見せられたような気がする。凄い...。

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「人間には本当に必要なものがある。それを提供できる仕事を、本物の仕事というのではないか。・・・・・」

トルストイの残してくれたものは人間にとっての財産だと思うが、あの時代のロシアの人々にとっては本当にその必要性は切実だったんだと思う。

←実はこのブログ、先週書いたもので、今日アップしようと考えていたのだが、今日の雪の中を道を歩いていたら、道ばたに本が...。近づいてみたら、伊集院静氏の「なぎさホテル」だった。今日の面白い偶然(笑)。

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