Thoughts

色々な段階

お陰さまで、「欧州への旅」のサロンコンサートも大盛況のうちに終わる事が出来ました。たくさんの方に来て頂けた事、そして色々な方のサポートのお陰で無事にコンサートが終了出来た事に感謝しております。

今回は以前から何回か一緒に演奏をしているオーボエのNさんとのコンサート。2ヶ月前から長時間のリハーサルを積み重ねて来て、本当に表面的なものではなく、今の自分たちに出来る限りの音楽追究をして向かえたコンサートでした。コンサートの企画の段階で色々とアイデアを出し合うのは楽しく、色々とイメージが膨らんで行きますし、新しい曲を見るのも楽しいものです。しかし、実際の音楽作りはある程度出来上がって来ると、その音楽内容的な難しさに直面して楽しいとだけ思えるものではなくなって来ます。ここが本当に勝負だと思っているのですが、この壁に当たった時にいかに良いものを作り出して行けるか、そこで妥協をせず先に進めるかが本当に大切だと思っています。
今回は最後の3週間がこの山だったように思います。そして、この3週間の間に実にオーボエとのアンサンブル、そして自分の弾き方も相当変わったような気がします。

曲も弾けて来て、アンサンブルとしての音も合って来ると音楽的な内容の浅ささを実感させられてしまいました。そんな折、オーボエのNさんも色々とご自分の音楽で大きな発見があったようで、私が中国から帰って来た後のリハーサルで音楽ががらっと変わっていました。「置いて行かないで〜」という思いでしたが、たまたまそのリハーサルをした夜に素晴らしいコンサートに行き、自分の中でも変化が起き始めました。それは、バイオリニストのHさんを中心とした室内楽のコンサートでしたが、とにかくこの日はHさんの(音楽と云うより)演奏に感激しました。実は私が小さい時に習っていた先生がHさんとよく一緒に演奏をしていらしたのだが、私がまだ中学生の頃にレッスンで「Hさんは無意味な音が一音もない。みほちゃんもそうしないといけない」と云われたのを急に思い出しました。まさに今回の演奏がそうでした。一音も思慮に欠けた音はないように思われました。本当に素晴らしい演奏でした。

早速帰って来た翌日にこれを意識して練習すると、いかに流れに任せて弾いていた音が多かったかに気付きました。流れがあるのは良いのだが、流れを作っている一音一音に意識がなくてはいけない事に気付きました。

そして、数日後、今度はソロの曲を友人に聴いてもらう事にしましたが、その時に友人も「バイオリンなしの伴奏だけだけど聴いて欲しい」というので聴かせて頂きました。流れがあまり聴こえて来なかったので「旋律を考えながら弾いてる?」と聴いたら「全然考えてなかった。もう一回やってみる」というので弾いたら、あっという間に流れのある素晴らしい音楽になったので、これもとても考えさせられました。人とアンサンブルする時に私自身は逆に「こういう流れでくるのではないか?」と想像し過ぎているのでは、と思い始めたのです。実はオーボエとのリハーサルで録った録音を聴いた時に、とっても合わせるのが難しい所が意外と合っているのに、「ここは誰でもちゃんとオーボエの流れを聴いていたら合わせられるでしょう」という、いとも単純な所が合ってなかったりしたのが不思議でした。自分の中での流れに執着していたのだと思います。

今回のオーボエのNさんはとっても自然な流れの音楽を作るので、自分自身の音楽の流れを考えされました。自分自身の流れ、そしてもう一歩発展してNさんの流れでもない、音楽自身の流れはどこにあるのだろうか、というのを最後探すようにしていました。なので、私でもない、Nさんのものでもないが、この二人のアンサンブルだから見えて来る流れを探そうと目指していたのだと思います。(これは結果として今思っているのですが...笑)。

この発見は自分のソロ演奏にとっても大きな発見で、自分の流れではなく、音楽の流れはどこにあるのだろうか、と探しているうちに自分がどんなにか流れをせき止めていたかに気付かされました。それは、やはり音楽に羽が生えて飛んで行ってしまいそうなのを、こわくなるので押さえ込んでしまっていたのです。それに気付いたら、本当に自由になった上に自分のやりたい音楽がどんどんと見えて来ました。

なので、今回のコンサートの自分の中での目標は「自由」でした。オーボエの音楽を縛らない、自分もこわがらずに押さえ込まずに流れに乗る、そして最終的に音楽に身を任せる。ソロ曲は全然ここまで到達出来なかったのが残念だったが、アンサンブルの曲は相当理想に近づけたのは嬉しい。本当に今回は色々と大きな発見のあるコンサートとなりました。次回のコンサートでさらなるいい演奏が出来ますように。。。

追記:コンサートの感想で「元気な演奏」「飛んでたけど。。。(飛び過ぎを暗示しているのだと思うが)」というコメントがあったがこの自由が反映していたのかな〜とも思う。「自由」の「加減」を次回は出来るようにしなくてはと思う(笑)。

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