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勝手に

最近、自分はどれくらい本当に自分の音を聞いているんだろうか?という事に焦点を当ていて練習しているのだが、昨日の練習中にどうにか耳と手だけが直結してくれないものか、とつくづく思ってしまった。脳からの指令や邪念が多過ぎて音楽の邪魔をしている事に気付きました。目から入って来る情報さえも邪魔な気がして来て目を閉じて弾く試みもするのだが、ラフマニノフは相当手が跳ぶのでまだまだ勇気が持てなくて、目を閉じたり開いたりで逆に気が散ってしまった。

それが、昨夜寝る前にまた画家の有元利夫さんの本を読んでいたら、その中に右手を痛めた時の話が書いてあってとてもハッとさせられました。右手を痛めたので、左手で色々な事をするようにしていたのだが、意外にも色々と本人も驚くくらいに左手が動いてくれたらしい。しかし、2つ出来なかった事があって、その一つが絵を「描く」事だった。「それまで、自分で大いに脳を使用していたつもりだったのに、そうではないらしい。脳みそはせいぜい部分的な指令ぐらいしか出来なようです。それらの判断たちを総合しつつ展開させ、絵にして行くのはもっぱら,僕の場合、右手のようです。」と書いてありました。

自分も昔、弾きながら手が勝手にフレーズを作ったりして、それが結構良かったりするので「今の、なかなかいいじゃん」なんて思ったりする事もあったのだが、それが最近めっきりなくなってしまっていた。何か、いつも予想のつく展開で、自分で面白くないな〜なんて思ったりして。なので、今日は「手」を信頼して、脳(心?)からの思いや指令を一切排除して手に「全て」を任せようと練習していました。今日は練習が1時間程しか取れなかったのでまだまだ不十分だが、手応えがあって驚く程体のあちこちの力が抜けて音楽が自然に流れていたように思う。これから、ちょっと楽しみ。

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