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音の膨らみ

昨日のMちゃんとの音楽談義で相当二人で引っ掛かったのが『音の膨らみ』。
音を膨らませるという事は、ピアノ以外の楽器は音楽を作る上で、当たり前のように使っているテクニックの一つだが、ピアノにとっては理論上出来ない事の一つとなっている。管楽器や弦楽器は息の使い方や、弓や弦に掛けるプレッシャーを変える事で出続けている音を自由に操作できます。しかし、例えばピアノは、「ド」の音の鍵盤を指で押して、押し続けると「ドーーーーーーー」と音が出ますが、最初に音の出る瞬間が一番強く出るのであってその後は音量的には小さくなっていく一方です。なので、ピアノで一度出してしまった音は膨らまないはずなのです。
 しかし、私の中で音の膨らみを利用するという事は当たり前のように存在していて、昨日話題に上がるまで気にしていなかった事です。Mちゃんに「膨らむって具体的にどういう事?だって一度弾いた音は減衰するしかないよね」と云われてからは相当色々と考えだした(笑)。

「音量が大きくなる」とも「広がる」とも違う「膨らむ」という感覚。これは、結局最初の衝撃で生じた音(倍音)の波の膨らみを聴いているのだと思っています。
 例えば、地震で津波が起きる原理と同じだと思うのですが、最初大きな衝撃があり、その衝撃で海の水が膨らんで波になる。最初の衝撃が一番強いけれど、それによって「波」が生じていて、その波が「膨らみ」ではないかと。そして、和音(2つ以上の音を同時に)を弾いた場合、その波がさらに大きくなるような気がします。 

 色々と考えていたら、「ピアノで一度出した音は操作出来るのか?」という問題はロンドン留学中の授業でも大議論されていたのを思い出しました。「絶対に可能だ!!!』と、強く信じていた一人の生徒と教授が全然折り合えず、授業が終わっても言い合っていた(笑)。私も確かその頃『出来るような気がする』と思っていたように思うが、今では自分の中では「出来る」と確信しています(笑)。思い込みというのもたまには必要な気がします。

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