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目力

                           レッスンからの帰り道
Feb%2020%20_resize.jpg今日、「ねむの木学園」の創立者の宮城まりこさんのドキュメンタリー番組をやっていた。色々と感動する事があったが、その中でも福祉の勉強のために留学していた時に衝撃を受けた一つの話に特に共感した。
 それは、夜中に障害をもった子供が寝付けず、看護士が話掛けにいって落ち付かせたのだが、部屋から出て行く時に目をずーっと見ながら後ずさりして扉を閉めたというのです。これは、子供に「ずっと守っているよ」という安心感を与えているんだ、と宮城さんは云っておられたが本当に「目」の力というのは凄いと思う。

 学生時代、私は逆に「見られる」事で緊張するような気がして、カーテン越しにコンサートが出来ないものかと真剣に考えた事があった。コンクールで公平な評価をするためにそうする所もあると聞いて、自分向きだと思ったものでした。「聴かれる」事に抵抗はなかったのだが...。
 しかし、自分の生徒を見ていて驚くのが、弾いている最中に私がちゃんと聴いているかどうかをちらっと見て確認したりするのです。小さい子が簡単な曲で、これをするのは分かるが、大きな子で結構難しくて長い曲でもこちらを見たりするのにはびっくりする。私はレッスン中は100%子供にだけ集中しているのでそういう時に必ず目が合う訳だが、その時に子供ははっとして「集中しなきゃ」モードになります(笑)。どんなに小さな子供でもこちらが真剣に聴いているという事が伝わっているような気がします。
 
 この「見る」という事に関して今週は対照的な事が二つ。月曜に教えているニュージーランド人のC。出来上がった曲をお母様に聴かせている最中に下の弟が騒ぎ出して、お母様がその子をヒソヒソ声で怒っていたが、やはりCがちらっとその時にお母様の方を見ていました。とってもうまく弾けたのに、ちゃんと聴いてもらえなかった事で相当にがっかりしていた。
 そうかと思うと、今日のイギリス人のA君。いつも走り回ったり、ふざけたりして30分のレッスンも大変なのだが,初めて今日はお母様が最初から最後までレッスンを聴いていたおかげで、本当に良く集中してとても上手に弾いていた。いつもお母様が忙しそうだからだと思うのだが(子供3人)、やはり自分だけを見て/聴いてもらえているという事がとっても嬉しそうだった。
 大人もそうだが、特に子供は本当に目でしっかり見て、向き合う事がとても大切だと思う。

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