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作曲家との相性

先日オール・ロシアものの室内楽のコンサートを聴きに。

前半はそれぞれ、プロコフィエフのヴァイオリン、チェロ・ソナタ。後半がショスタコービッチのトリオ2番。
ロシアものは大好きなのでとっても楽しみにしていたが...。

演奏家と作曲家の相性が合う、合わないがある事をつくづく実感。

ピアニストのNさんは去年の秋にシューベルトのトリオを聴いて、そのあまりのアンサンブルの素晴らしさに大感激したのだが、今回は彼の良さが全部裏目に出てしまったような気がしました。まず、気になってしまったのが音の温かさ。人間味がありすぎた(笑)。ロシアもの、特に社会主義ソビエトを背負っている作曲家は冷たい程までの「厳しさ」が鍵のような気がするのだが...。しかし、そうかと云って音楽が「冷めている」わけではなく、音楽を通してしか表現出来なかった彼らの怒りや悲しみはロマン派とは比べ物にならない程のとてつもない情熱として音楽の根底に潜んでいる。音と構成は鋼鉄のような強さを持っていながら、押さえ切れない溢れんばかりの負のエネルギーがプロコフィエフの魅力だと思っているのだが、それが残念ながら感じられず、相当がっかりしてしまった...。チェロはとても情熱的には弾いていたが、ピアニストのNさんからは情熱も感じられなかった...。

後半のショスタコービッチが心配だったが、予想をよくぞ裏切ってくれた(笑)。

チェロに引っ張られて、本当に素晴らしかった。胸をえぐるような深い悲しみと怒りが、伝わって来る熱演で、音楽の素晴らしさを体感出来ました。この一曲で無性にロシアものが弾きたくなりました(笑)。

コンサートというのは本当に不思議。どんなに好きな演奏家でも、その日の調子や共演者との相性、プログラムとの相性等、さまざまな要素でこちらの観客が感動するかしないかが掛かって来る。それが、実際にコンサート会場で聴くまで分からない訳だから、本当にこれこそがコンサートの醍醐味。

今回は前半で怒りに近いものを感じる程に落胆していたが、後半で大感激。結局は心晴れやかに帰って来ました(笑)。

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