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ぶん殴られた方がまし

秋のリサイタルをサポートして下さっているKさんが大分前に送って下さったDVDを、時間が出来たのでやっと観る事が出来ました。

カルロス・クライバー指揮のベートーベン7番やK.テンシュタット指揮のロンドン・フィルのワーグナー、S.チェリビダッケ指揮の「展覧会の絵」など、とっても盛りだくさん。

Kさんはベートーベンの7番がとってもお薦めだったようだが、私が何と云っても感激したのはクライバー指揮の「魔弾の射手」のリハーサル風景。

若い時のクライバーがとにかくカッコいい!!!見た目ももちろんカッコいいのだが、指揮も言葉の一つ一つにも音楽に対するとてつもない情熱が感じられて感動しっぱなし。

色々と心に響いた言葉があったが、特に感激して笑ってしまったのが次のコメント。

「堅実な方向に傾きつつあるようだ。安全地帯で無難に過ごすならぶん殴られた方がまだましなくらいだ。各自が好き勝手に演奏している様に見える中に一つの共通な音楽の核が存在する、そんな風にしたい。」

「ぶん殴られた方がまだまし」という言葉で笑ってしまったのだが、内容的には本当に音楽家としては目指したい事をズバリと言い当てていて感動。日本では「堅実」というのは良い事と思われがちだが、実は音楽の本質からはずれていて、絶対に回避しなくてはいけない事だと思っている。

ソロのピアノでも、アンサンブルでもこの事はいつも意識している。音楽が自由であるためには「音楽の核」なるものを常に自分で探し求め、見失う事なくしっかりと掴んでいなくては、とつくづく思う。

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