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Gitlis%20Program_resize.jpg今日はバイオリニストのイヴリー・ギトリスさんのコンサートに行って来ました。
80歳を越えた今も精力的に演奏活動をおこなっており、今回は特に震災のためのチャリティー・コンサート、そして被災地での慰問コンサートのために来日しました。

ギトリスさんだけでなく、バイオリニストの木野雅之さん、ピアノの岩崎淑さん、大鼓奏者の大倉正之助さん、そして弦楽アンサンブルと盛りだくさん。プログラムはその場でアナウンスしながらの即興的な感じで、いかにもギトリスさんらしいコンサートでした。圧巻だったのはバッハのバイオリン協奏曲。1回目に弾いたのが気に入らなかったようで、二回弾いたのだが、2回目は大倉さんの大鼓も交えての演奏。最初は違和感を少し感じつつも、徐々に大倉さんの方が音楽を逆に見抜いている感じがして(バッハは予定に入っていなかったようで、その場での即興演奏だったらしいが)他の演奏者が逆に伴奏しているように感じて来た程。クラシック音楽は音階の音がリズムと一緒になって音楽の流れやクライマックスを作るのだが、大鼓奏者はそれをかけ声と鼓の強弱だけで作っているのがよく分かりました。ギトリスさんも空気を読むという事においてはずば抜けていると思うのだが、今日は何だか大倉さんに軍配が上がってしまった気がしてしまいました。ギトリスさんも感心し切っていたよう(笑)。

Gitlis%20%E4%BC%9A%E5%A0%B4_resize.jpgそれにしても、今回のコンサートではプログラムにも被災地への訪問、慰問演奏の模様が書いてあったり、会場に写真が置いてあったり。コンサート内で「色々話したいけど、感情的になっているから後で話す。」と何回もいいながらも結局最後まで地震の事については一言も話さなかった。こんな凄い巨匠と一緒にしてはいけないのかもしれないが、勝手にニューヨークのリサイタルで話をしたら弾けなくなってしまった自分と重なって、救われた思いがしました。(実際は全然違うのかもしれないけど...。)

プログラムの後援のところにイスラエル大使館とカトリック渋谷教会が名前を連ねていました。ユダヤ人のギトリスさんを迎えてのイスラエル大使からのメッセージが書いてあり、そして被災地ではカトリック石巻教会の受け入れがあったお陰で慰問演奏が可能になった事が書いてありました。宗教を越えて、国境を越えて、本当にみなが今とにかく助け合ってこの災難を乗り越えよう、という思いがひしひしと伝わって来ます。政治家も見習って欲しい...。

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