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2011年夏:フランスでのコンサートⅤ

今回のコンサートは実はブリッジ・カルテットが主催した夏期講習の中での催しものでした。アマチュアの音楽家達がそれぞれに四重奏(カルテット)のグループに振り分けられ、講習をブリッジ・カルテットのメンバーから受ける形です。講習を受ける人数が20名、その上に家族や友人達も来ているので相当の人数が集まっています。なので、基本的にコンサートのお客様は講習を受けに来た方達でした。
私も色々な人に「来たいんだけど」と云われたのだが、残念な事に今回は随分とお断りしてしまう事になってしまいました。

それでも、二人だけ(笑)、招く事が許されたので従妹と従妹のボーイフレンドがニューヨークから来てくれました。

コンサートはシャトーの居間に椅子を並べて、40人程の小さなサロン的コンサートでした。とにかく雰囲気が温かく、何ともゆったりとした空気が流れていました。

最初はベートーベンの弦楽四重奏。自分は集中するため外で音を聴かないようにしていました。そして、ソロのリスト曲3曲。ピアノも部屋の雰囲気も音楽にあまりにぴったりで、自分はどこにいていつの時代にいるかを忘れてしまうような感じです。それでもやはりソロ曲は責任もあるので、浸っている訳にはいかず、出来るだけ集中力が飛ばないように気は張りつめていました。

しかし、ソロも弾き終わると気持ちも解放されて、後半のエルガーは本当に楽しみで仕方がなかった。そして、実際にとても楽しめました。リハーサルが少なかったので、相当気は引き締めていたが、それでも既にカルテットとの信頼関係が出来ていたのでとても自由にお互いに弾けたように思う。

実は終わった後にチェリストの人から凄く嬉しい褒め言葉を頂きました。「みほと演奏出来て本当に良かった。みほのピアノは凄く"しなやか"だね」という言葉でした。「しなやか」という言葉は室内楽においては本当に嬉しい言葉です。日本では全く重宝がられない特徴なのだが、自分では音楽的に目指しているものの一つなので、そこを認めて喜んでもらえたのは本当に嬉しかった。

お客様もみんな喜んでくれたようで、次の日から夏期講習の生徒さん達からコーチングをして欲しいと云うリクエストがたくさんありました。何だか急に引っ張りだこになってやけに忙しくなってしまったけど、その後の数日間、コンサートの余韻を楽しみながらのとても充実したモルゴン滞在となりました。こんな素敵な所で素晴らしい曲を素晴らしいブリッジ・カルテットと弾く機会を頂けて本当に大感謝でした。

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