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想像力

もう9月。久しぶりに雨も降り、まだまだ暑いながらやはり夏が終わりに近づいている気配。

この夏は日本でのんびりと。春が異常に忙しかったのと、体調を崩しまくっていたので、とにかく生活と健康を立て直すのに専念しました。家や書類の整理から始まり、溜まりに溜めていたメールや手紙の返事、貸して頂いた本やDVD,CDを聞いて、やっと秋から再スタート出来そうです。

暑いながら、A君のチェロ・リサイタルのお陰でピアノも張り切っています。8月は前から弾きたいと思っていた「展覧会の絵」を練習し始めました。時間的に長い(35分程)曲なので、なかなか手を付けられずにいたが、本気で練習をしだしたら思っていたより譜読みはそんなに大変ではなく、意外でした。弾き込みはこれからなので、これからが大変だと思うが、曲自体は分かり易いし、和声的には難解ではないの暗譜もし易い。ムソルグスキー自身、短期間で書いただけあって、感覚に訴えるところが大きい。それだから入り込み易いのかしら。

ムソルグスキーが展覧会で観た絵を曲にしているのだが、題名も付いているのでとても音楽的に想像しやすい。歳を重ねて、色々と指の柔軟性が無くなったり、無意識の攻めのエネルギーが減っている代わりに想像力がとにかくたくましくなっている気がします(笑)。学生時代の最大の悩みの一つが演奏家としての想像力が無さ過ぎるのではないかだったが、今では苦しんで探さなくても、あらゆるイメージが沸くようになって楽しい。音楽が直接、自分の心や思い、経験や記憶と一致するようになって来ているからだと思う。

それにしても、邦題「小人」と付いている曲は英語だと「Gnome」となっていて、これはよくアメリカやヨーロッパの庭に置いてある赤い帽子をかぶっていて白ヒゲのある、ほのぼのとしたイメージのあの小人です。ムソルグスキーはロシア人なので英語の訳も合っているのか分からないが、それにしても、曲自体は相当不機嫌な人相の悪そうな小人の感じです。ムソルグスキーが実際に観た展覧会の絵は現在残っていないので実際はどんなだったか分からないのだが、この世の中に恨みたっぷりの怖い感じの小人を想像しちゃっています。

元の絵が残っていないだけに、自分で一曲一曲想像出来るのは逆にとても楽しい。おまけに絵ではなく、音楽を通しての感じ方になるので、時間的、空間的な3次元の想像になるので想像力もどんどん幅が広がっています。広がり過ぎかも。。。

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