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チェーホフ

ここ数日、一月に大感激した俳優座の事を何故か思い出し、色々と調べてみたらちょうどチェーホフの「かもめ」をやっているのを発見。急遽行く事にしました。

%E3%81%8B%E3%82%82%E3%82%81_resize.jpgチェーホフはロンドンでもしょっ中上演しているのだが、あまり評判のいいものに出逢えず,今まで避けて通っていた作家でした。いつか観たいな〜とは思っていたが。なので、今回、初めてチェーホフが観れると思い、ちょっとワクワク。

俳優座の稽古場での公演とあって、席数も少なく、平舞台な上に席が一列目だったので、俳優達がとっても近い。ライブの醍醐味を存分に味わえました。

チェーホフがこんなにも共感出来る作家だったのか、ととにかく感動。作家の思考の仕方、ものを作り出す苦しみや葛藤、喜び、名声や評価に対しての憧れ、虚栄心、軽蔑、が色々な人物を通して表現されていて,本当に素晴らしい。今まで持っていた、チェーホフの「重い,長い」というマイナスイメージが一気に吹き飛びました。「重い」という事は「深い」という事であり、あそこまでの深みに辿り着くには時間も必要なのだから、「長い」とも全く感じない。

チェーホフの作家としての素晴らしさは別として、ストーリーはというととにかくとにかく悲しい。終わってから本当に無性に悲しくなってしまいました。皆があまりに報われない一途な愛に心を痛めていて...。一番純粋なはずの「作家」が唯一フラフラしているのが気になるが。

それにしても、俳優座って本当に素晴らしい!前回の「カラマーゾフ兄弟」も大感激だったが、今回の「かもめ」もとにかく自然体なのが凄い。演劇特有の型が全くない。国も時代も違う劇をあんなにも自然に表現出来て、そして受け取る方も自然に受け入れられるって本当に凄い。型を感じさせない俳優座の型というのがある気がする。

チェーホフに感動し、俳優座に感激。本当にいい時間を頂きました。

追記:この「かもめ」。とにかく暗いし,悲しくなっちゃったのだが、今ちょうど練習しているロシアの作曲家のムソルグスキーの「展覧会の絵」と共通するところが多い。手を付ける前は明るいイメージの曲だったが、練習してみると「なんでこんなに暗い曲ばかりなんだろう」とその影の部分が際立って来ている。面白い事に、色々と調べていたら「かもめ」のジャンルは「喜劇」に属すると英語のサイトに書いてあった。チェーホフが手紙に「喜劇を書いている」というのがその理由らしいが、書き上がった後もこれは撤回していないらしい。まぁ、確かに見事に誰の愛も報われないと云う意味では喜劇になるのかな〜...。深過ぎる...。

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