Thoughts

悲喜劇

チェーホフの「かもめ」がジャンル的に「喜劇」に入る事がどうにも気になって、色々と考えたり、調べたり。

実際に劇を観ている時は、どっぷり浸かってしまっていたのですっかり「重さ」や「深さ」に身を任せてしまったのだが、数日たった今、冷静に考えてみると、人間や人生の滑稽さや皮肉がエッセンスとして心に残っているので、これは喜劇でも全然ありなのではないかと思えて来た。色々と調べていたら、初演の時の演出家が重い、暗い演出をしようとしたのに対して、チェーホフが「これはコメディーなんだから!」と大激突した記録が残っているらしい。

確かに何場面か台詞の切り替えがあまりに唐突な時があって、感情的に付いていけない所があったのだが、意外と軽い演出だったら切り替えがスムースなのかも、と思ったり。おまけに、軽い流れで持っていったら最後の悲劇ももっとインパクトのあるものになるのかも、と思ったり。

なので、今までこの「かもめ」を軽い演出でしたプロダクションはないかと調べてみたら,実はいくつかあるらしい。この「かもめ」のロシア語からの英訳は1998年から2004年の間だけでも出版されたものが24もあるらしく、それだけ解釈が広いという事なのだと思うのだが、それなら演出もいくらでも広がりそう。過去に海外で公演された軽いバージョンの批評もいくつか見付けたのだが、意外だったのがつい先月鳥取で笑えるバージョンをやっている劇団があったらしい。鳥取というのがまた面白い...。いつかぜひユーモアを前面に出したものも観てみたいな〜。
名作の懐は限りなく深い。

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