Thoughts

ロシア続き

%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%94%E3%83%B3_resize.jpg今年はなぜかロシアに縁があるように思う。
ドストエフスキーの「カラマーゾフ兄弟」,チェーホフの「かもめ」を観劇したり、春のオール・ラフマニノフ・プログラムのコンサート、今練習中のムソルグスキーの「展覧会の絵」。そして、つい昨日、渋谷の文化村で開催されている「レーピン展」に行ってきました。

ムソルグスキーの肖像画を描いているので、それを目的に行って来たのだが、どれもこれも素晴らしい絵で驚いてしまった。このレーピン展はテレビで紹介しているのも観ていたし、ムソルグスキーの肖像画も印刷物で何回も目にしているのだが、実物はやはり全然違う。とにかく一つ一つの絵の深さに引き込まれると云うか、3次元を越えて4次元の世界にまでも行ってしまいそう。風景画の遠近感や奥行き感も凄いのだが、何と云っても肖像画の素晴らしさが際立っている。本当に目の前にその人がいるよう。内面やその人の人生までもが秘められている。普通は同じ画家の絵は、絵の前に立つと、違う題材でも同じ印象を受けるのだが、レーピンは一枚一枚の絵の印象が全く違う。特に肖像画では一人一人違う人と出逢っているような錯覚に陥るだけでなく,描かれている人に異常に興味が湧いて来る。レーピンの洞察力の深さと人間に対しての温かい眼差しに感動しました。

今回の展覧会は今まで観て来た絵画とは全く違う感動の仕方でした。会場も入って,最初の紹介文を読んでいる時に、あまりにも静かなので全然人がいないのだと思い込んでいたのだが、少し歩を進めたらたくさん人がいました(笑)。みなさん、とても静かに、そして深く絵と向き合っていらして(というか絵がそうさせるのだと思うが)会場の雰囲気がとても重々しい感じでした。私はこういう雰囲気が大好きなのだが。

そういえば、ムソルグスキーの肖像画の他にムソルグスキーが「展覧会の絵」を献呈した美術評論家のスターソフの肖像画があったりして、「展覧会の絵」と関係のある絵(人)を今の時期に観れたのはとてもラッキー。他にトルストイの肖像画もあり、レーピンのアトリエを訪れた時にトルストイが絶賛したと云う当時制作途中だった「ゆうべの宴」という絵も本当に素晴らしかった。この「ゆうべの宴」の前でトルストイと同じように自分も時代や国を越えてこの絵の前に立っているかと思うととても感慨深いものがありました。

19世紀後半のロシアは本当に凄い人達が渦巻いていたのですね。レーピンと云う巨匠をこの歳で発見出来て本当に幸せ。ロシアに益々興味が湧いている今日この頃です。

追記:レーピン展は文化村で10月8日まで。ぜひぜひ皆さん観に行って下さい!!!
ちなみにこの展覧会はこの後巡回するらしく、来年の4月に葉山にの美術館に来るとの事。また随分と近くに来てくれるのですね(笑)。

entries

categories

archives