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本気

ニューヨークでのコンサートをきっかけに色々と発見があったり、会った人達との会話の中で考えさせられたり、インスピレーションを受けたり、と本当に収穫の多い旅でした。

コンサートに関しての直接的な大きな発見の一つ。前日に調律に関してのハプニングがきっかけで、変な不安に苛まれて珍しく前夜に眠れなくなってしまったのだが、その時に前に知り合いの方から頂いた「腹をくくる」と云う言葉を意識的に実践して心を落ち着かせようとして気付いた事がありました。今、自分が目指している演奏では腹はくくれないのだ。腹の中を全てさらけ出す演奏をしようと思ったら、腹をくくってはそれが出来なくなってしまう事に気付きました。そこで、この不安も緊張ももう受け入れるしかないんだと云う事に腹をくくりました(笑)。

もう一つ、今の自分の演奏(というか練習)に大きな影響を与えている言葉。全然音楽とは関係のない話をしていた時だったのだが、「みほちゃん、本気じゃないでしょ?」と云われました。私は最初は「気持ちは凄くあるんだけどな〜」と反論したのだが...。しかし、よ〜く考えてみると「気持ちが凄くある」のと、「本気」は全然違う事に気付きました。そして、色々と自分の他の事にも当てはめていくと恐ろしい事が見えて来ました。
自分の音楽ももしかしたら...???ピアノに関してはいつでも全力投球だし、一音でも多く良いものにするために一生懸命だし、練習は何をするよりも最優先だし、真剣に音楽とは向き合っているのだが、「本気」かどうかと問うてみたら、意外な事にこれがいつの間にか落ちていたような気がして来ました。

小さい時はいつでも本気を出さなきゃ難しい曲は弾けるようにはならないので、意識しなくても本気は出していたように思うが、いつの頃からか、「音楽の自然な流れ」だの「いかに脱力して弾くか」とか「音色やフレーズの美しさ」や「楽しく弾かなきゃ」という雑念にその「本気」が埋もれてしまっていたという事に気付いて来ました。

ここ最近、自分の演奏がどうにも下手になっていく気がして、どうしようかと困っていたのだが、ここに来て一番大切な事が見付かった気がします。

この「本気」でここ数日練習しているが、出て来ている音楽が全く違う。「これこそが自分の音楽だった」と思えるようになって来ました。
「本気」と思うだけで、なぜこうも出て来る音楽は違うのだろうか?「本気」って何だろう、と不思議でもあります(笑)。

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