Thoughts

生き生きと

少し前になるが、夏の終わりに生徒さんの一人がIPDピアノコンサートで今年も弾く事になったので、聴きに行って来ました。IPDは日本障害者ピアノ指導者研究会の略で、ホールでのコンサートは今年で2回目。戸塚に新しく出来た「さくらプラザホール」でのコンサートでした。

IPD2014_resize.jpg私の生徒さんのダウン症のMちゃんは今回「上を向いて歩こう」と「見上げてごらん夜空の星を」を弾きました。クラシックの曲も弾いているのだが、今回はMちゃんの希望でこの2曲。リハーサルで弾き終わった時に、跳ねるようにしてステージ横に入って、その後も笑いが止まらないので、「そんなに楽しかったの?」と訊いたら「緊張しているの。」という答え。緊張って色々な形があるけれど、周りを和ませるこの緊張は羨ましいな、と思う。(以前にお母様からMちゃんは今までの一生に、一度も怒った事がないと聞いてびっくりした事がある。なので、それ以来、何かキレそうなときはMちゃんの顔を思い出して、ぐっとこらえるようにしています。。。笑)

昨年もこのコンサートに出させて頂いたのだが、昨年に比べて、少し大人になったせいか、最初緊張していて、随分と堅くなっていた。昨年は無邪気に弾いていたのだが。でも、後半は大分乗って来て、いつものMちゃんらしい、元気な演奏になっていました。そして弾き終わった後のインタビューでも、「みんなが美味しくスキヤキが食べれるように弾きました」と何とも不意を付いたコメントだったのだが、「上を向いて歩こう」はアメリカで「スキヤキ」という曲名で売り出されて大ヒットしていたから、大笑いしてしまった。機転が利いてるな〜...。
前にも、レッスンの後に「お昼を外に食べに行く」というので、「どこに行くの?」と訊いたら「イタリアにピザ食べに行くの。」と何とも洒落た答え。Mちゃん、私よりも人間出来てるし、ユーモアのセンスがある...。

昨年も聴かせて頂いたこのIPDのコンサート。一人一人のピアノに向かう姿勢が本当に素敵でした。そして、ご家族のサポートのお陰だと思うが、子供は特に、障害を持っていても制限を感じないのが凄かった。車いすに乗っておられた小学生の女の子に「ピアノの他に好きな事は何ですか?」の問いに「テニスです!」。もう一人の脳性麻痺の車いすの女の子も、小説を書くのが好きという事で「どういうお話ですか?」と訊くと「天使と一緒に冒険するお話です」ととっても明るい声で答えていました。障害を持ちながらも一人一人が明るく、生き生きとしていて、本当にたくさんの元気を頂きました。

(余談だが、最近の車いすって、かっこいい!色がシックだったり、車輪にライトが付いていたり。子供の心をくすぐるような工夫が色々とされているのですね。)

追記になるが、このIPDのコンサートの話を友人にしたら、彼女がたまたまテレビで見たという、自閉症の東田直樹さんのドキュメンタリー番組の話をしてくれました。今回のコンサートでも大勢の自閉症の方が出ていましたが、ダウン症と違って、なかなかコミュニケーションが取りづらい障害なような気がします。それが、この東田さんが自閉症ながら、ことばを持っている事で、その自閉症の謎を色々と解き明かしてくれているようです。彼が、全ての自閉症のアンバサダーではないけれど、大きな革命を起こしている事は確からしい。ブログも書いているのだが、それがめちゃくちゃ本質を付いていて鋭い。その言葉がまた簡潔で詩的で、心に染み入る。自閉症ではなくても全ての人に共通する、心の葛藤や生きていく上での様々な疑問や矛盾が純粋な心で書かれています。

間近で申しわけないが、友人が話していたドキュメンタリー「君が僕の息子に教えてくれた事」が13日(土)、15:05〜16:04、NHKで再放送されるそうです。

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