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土曜日にずっと考えていた事。

東田さんの番組の事をお知らせした友人が感想メールに「人の視線がこわい、というのが印象的でした」というような事が書いてあって意外だったのだが、コンサートをする時に、何が一番苦手かと云うとやはり「見られる」事が今でも苦手なのだ。

それが、どうしてそんなに苦手なのか、この前一緒にコンサートをしたチェリストさんとの会話でちょっと理由が分かった気がします。
コンサートが終わった時に、彼が「一番前の子供がずっとずっと足をブラブラしていて、なかなか音楽に入り込めなかった」と云っていたので、「ピアノは横向いているから、視覚的に聴衆が気になる事はあんまりないんだよね。」と話したら、新しい発見だったようで「なるほど」と「うらやましい」というような表情で聞いていた。でも、この話をしている時に、自分が「見られる」のが苦手なのは、聴衆と向かい合っていないからなのでは、と急にひらめきました。
聴衆に向かって、一人だけ横を向いているというのは結構無防備な気がする。真っ正面だと覚悟も決まるし、視線に対抗できるような気がするのだが(笑)。
音楽に入り込んでしまえば、視線も気にはならなくなるが、最初の椅子に座って、弾き出して、音楽の方に集中出来るまでは、視線に対してとても敏感になっています。

ここでまた考えが色々と発展して、チェリストさんは自分が「見ている」事を話していたのに、自分は「見られている」事に考えが転換している事に凄く興味を持ちました。
目って考えてみたら、情報を取り込んでいるだけでなく、発信しているものもあるという、他の器官ではしていない事をしているんだという発見。目と目が合うって、実は凄い勢いで取り込みと発信のやり取りがあるのでは、と思いだしました。だから、凄くドキッとするんだと思うけど。

その事を考えていたら、超マイナーなのだが、「秘密と嘘」の映画で有名なマイク・リー監督の「Happy - Go - Lucky(ハッピー・ゴー・ラッキー)」という映画で、主人公の女の子がホームレスの人と言葉ではなく目で交わす場面があって。その究極のコミュニケーションに大感動したのを思い出しました。その一場面だけでも観る価値はあるかな...。

そんなわけで、「目」について色々と考えた一日でした(笑)。

追記:今日,イギリスの雑誌に載っていた書評に次の引用が載っていて笑ってしまった。
「短い手紙を書く時間がなかったので、長い手紙を書きました。」
                       マーク・トウェイン

私のブログもそうか...。

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