Thoughts

チョコレート

コンサートの企画から携わり、まだ経験の浅い音楽家達とコンサートを作り上げていく仕事をしている友人から聞いた話。

大学出たてのピアニストさんがあまりに自己陶酔しきった演奏だったので、「チョコレートを美味しく食べている自分を見せたいの?それとも、美味しいチョコレートを差し出して、お客さんに食べてもらいたいの?」という質問をしたそう。上手い例えだな〜と思って聞いていた。

私はここ数年、なかなか上手く自分を表現出来なくなってしまい、昨年までの多くのコンサートが結構苦しかった。親しい人に「弾いている本人が楽しそうでなければ、こちらも楽しめない」とまで云われ、本当に悲しかった。自分としてはわざわざそんな苦しい思いをしたいわけではなかったのだが、目指していたものに、どうしても辿り着けなくて、結果として苦しくなってしまっていたのだ。ましてや、自分だけ「美味しいチョコレートを食べている」ような演奏は絶対したくなかった。

今は本当に色々な事が見えて来て、目標はチョコレートを食べている人でもなく、チョコレートを御馳走する人でもなく、「チョコレート」になる事。出来れば、純度の高いビターがいいかな(笑)。(でも、ビターチョコの方がミルクチョコより砂糖は多いらしい...。)

そして人の好みはそれぞれ。あんこが好きな人もいれば、お煎餅がいい人もいる。人によって美味しいと感じるものや食べたいものは違うだろうけど、今は自分は「チョコレート」と信じて練習に励んでます。

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