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シューベルト

Kanno%20Lesson%201_resize.jpg今日は菅野潤さんのレッスンを受けに茅ヶ崎まで。菅野さんはフランス在住のピアニスト。昨秋、浜離宮ホールでザルツブルガー・ゾリステンとの室内楽のコンサートでシューベルトのピアノ五重奏曲『ます』を演奏されていたのですが、本当に素晴らしくて大感激。これぞ、室内楽!という演奏でした。とにかく、シューベルトのスタイルを保ちつつ、一人一人の演奏者がとても自由に弾いていました。皆が好き勝手に弾いているという事ではなく、その場で作られている音楽に反応してその瞬間にしか作り得ない、即興に近い自由という意味です。これは、お互いの音と音楽をとても良く聞いていて、それを尊重してまた自分もそれに応える、という理想図です。しかも5人がそれぞれとっても自由なのに、五重奏としてのまとまりは崩れる事がありませんでした。本当に掛け合いが素晴らしく、聴いていてとても楽しかった。
 この演奏に感激して、ぜひシューベルトのレッスンをして頂きたいと思っていました。

 実は昨年秋にシューベルトの即興曲のレコーディングをしたのですが、納得がいかず再度する事に決めています。なので、詰めに詰めていたシューベルトですが、さらに良いものにするためにレッスンをお願いする事に。
 
自分の演奏がなんとも中途半端だったのは別としても、レッスン中に菅野さんが弾いて下さったシューベルトが何とも素敵で、自分のシューベルトのやぼくささを思い知らされました。シューベルトは音色はとても暖かみがあって素朴な優しさがあるのですが、音楽的な感性はとても洗練されています。自分の弾いていた音楽は音色が繊細過ぎて、しかも音楽が朴訥、という風に全く逆になってしまっていたような気がします。こうなると、全然シューベルトではありません(笑)。
 菅野さんのシューベルトを聴いていると、瞬時に200年前のウイーンにタイム・スリップしていました。真似も出来ませんし、しても自分のシューベルトではなくなるのですが、目指したいものを見せて下さったので、今日のレッスンを噛み砕いて次のレベルまで持って行けるようにしたいと思っています。 大人になるとレッスンを受ける機会が少なくなってしまいますが、独りよがりの演奏にならないためには本当に必要な事だと実感しています。

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