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振り

E.Fischer%20CD_resize.jpgこのブログを書きながらフルトヴェングラー指揮、エドウィン・フィッシャー(ピアノ)のブラームスの2番のピアノコンチェルトを聴いています。先日、色々と相談に乗って頂くためにお会いした先生とエドウィン・フィッシャーの話題になり、その先生のためにCDを焼いている次第です。

お会いしたその先生は、私の2倍以上の年齢ですが、私の相談事にも大きく構えて応えて下さり、とても心強く思いました。そして、相談事だけでなく本当に色々な話をしてくださいました。50年以上前の芸大の話や当時のコンサートの印象、戦争で中国に行かれた時の話やピアノの楽器やスピーカーの話まで本当に多彩でした。年を重ねた方の仰る一言一言は興味深く、そして説得力があります。私は子供も大好きだが、人生経験をたくさん積んだ方と過ごす時間もとっても好きです。
 

 小さい頃に(10歳にも満たなかったと思うが)祖父が一生懸命話をしてくれているのに、私がちゃんと話を聴かないので、母からものすごく怒られた事がありました。ひねくれ者の私は、次の時にとてつもなくわざとらしい演技で話を聴いている「振り」をしたのですが、母に「今日は態度が良かったね〜」と褒められ、見抜いてくれなかった母にがっかりしたのを覚えています(笑)。本心ではないのに「振り」でいいのか、と...。しかし、今色々なセラピー(心は悲しくても、顔だけ笑顔を作ると気持ちが少し軽くなる等)で云われているように「振り」というのは面白い効果があって、長くてつまらないと思っていたおじいちゃんの話もだんだんときちんと聴けるようにもなり、そして楽しくもなってきました。あの時に母が怒ってくれていなかったら、この人生、相当損していたと思います(笑)。
 年の上の方は、自己顕示欲がないのでこちらから引き出さないと、なかなかご自分の方からはお話はしませんが、少しだけその人に心を傾ける事で本当にたくさんの貴重な話を聴く事が出来ます。先生とお話しして、祖父の事を思いだしましたが、人生の先輩方からは自分にはないものをいっぱい吸収したいと思っています。

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