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安心感

%E7%BE%8E%E9%A6%99%E3%81%95%E3%82%93_resize.jpg先日、ロンドンから一時帰国しているピアニストのMさんと一緒にプリンで有名な「Marlowe (マーロウ)」でランチしました。彼女は私がアカデミーでついていた先生が鎌倉に来た時にレッスンを受け、それがきっかけとなってイギリスに留学する事になり、もう今年で5年目だそうです。当時、先生の通訳をしていたので、Mさんと最初に出会ったのも6〜7年前。もうすっかり見た目も考え方も大人になっていて頼もしい限り。イギリスで得たものがとても大きかったようで、とても嬉しい。

実はMさんは4月にロンドンでやったトリオのコンサートの時に譜めくりをして下さいました。ロンドンにいた時はコンサートの事で頭がいっぱいだったので、ゆっくりとお話しする余裕もなく、さっさと私は日本に帰って来てしまい、申しわけなく思っていました。なので、今回はお礼を兼ねてのランチでした。

室内楽のコンサートをする時にピアニストにとっては必ず必要な譜めくり(楽譜のページをめくる人)。コンサートの日にちや場所が決まるとすぐに連絡するのがこの譜めくりです。普段、ピアノは暗譜で弾く事が多いだけに楽譜を見ながらの演奏は違う意味で色々と緊張します。余計な心配が増えては困るので、譜めくりの人は絶対に信頼出来る人でなければなりません。

ロンドンでのコンサートの日にちが決まった時に、ちょうどオーストラリアの友人Tから電話があり、ロンドンにその時期に来ている事が発覚。すぐ、お願いしましたが「ちょっと考えさせて」との返事。そして、コンサートが近くなって来ると「ちゃんと聴きたいから、他の人に頼んでもらえるかな?もちろんいなければ、するけど...。」と断られました。実は日本でこの同じトリオのプログラムのコンサートをした時にも友人のMちゃんに同じ理由で断られました(笑)。そこまで真剣に聴こうと思ってくれる友人がいるというのも、とても有難いのですが...。(確かに、終わってからじっくりと感想を聞く楽しみはあります。笑)。

日本では問題なかったのですが、ロンドンでの譜めくりの人が決まらないままどんどん日が近づいてしまったので、結構不安に思っていました。しかし、あるコンサートでMさんのお母様とお会いして「お陰さまで、ロンドンで頑張っております」と声を掛けて下さいました。帰って来てからはっとして、すぐにお願いしてみる事にしました。

お母様がすぐに連絡して下さり、そして翌日にはロンドンのMさんから電話があって、快く引き受けて下さった次第です。お陰で、コンサートを安心して迎える事が出来ました。

コンサートも無事に終わり、舞台袖に引っ込んだ時の最初の一声がMさんからで「とっても楽しかったです!」と云って下さいました。これは経験上あまりない事なのだが、日本でのトリオのコンサートの時にも同じように譜めくりの人がこのように声を掛けてくれました。一番近くにいた人から云われるのはやはりとても嬉しい。何か、その一言でコンサートが完結されたように感じてMさんの表情とともにロンドンでのコンサートの印象としてとても強く残っています。

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