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0.00%

今日やっと春らしい天気になって少し気分も明るくなりました(笑)。

相変わらず色々と音楽的に考えさせられる毎日ですが、先日電車で見た広告が今色々と思っている事と妙に一致しました。

ポスターには大きく「0.00%」数字。ノン・アルコール・ビールの宣伝でした。なみなみとコップに注がれたビールはとっても美味しそう。芳醇な泡もたっぷり、ガラスのコップも汗をかいていていかにもビール好きだったら飲みたくなりそうな写真です。

この宣伝を見て、最近の自分の演奏もこれに近い物になっていたのでは、という風に思って来ました。ピアノを弾いている年数も長くなっているので、コンサートに向けての準備も自分のペースみたいなものが分かって来ているし、音楽的に何がしたいか、するべきなのかも以前よりは自分の中で明確になって来ていたように思うが、逆に考えると惰性とは思いたくないがコツみたいな物をつかんでいるような気になっていたように思う。「コンサートで演奏をするための音楽」になっていたのではないか。。。もちろん自分は毎回一生懸命のつもりだし、コンサートのためにはいつも全力投球なのだが、0.00%のビールのようになんとなく見た目、香りやのどごし、(ピアノだと聞いた耳(?)、音楽の雰囲気や印象)は本物のようだが、実は肝心のアルコール(音楽だったら魂)が入っていなかったのではないか。。。

自分はあまりお酒が飲めないのであまり分からないのだが、ビールが好きな人というのは味や香りが好きというより、飲んだ時の「気分」が好きだから飲むのではないのだろうか?

音楽もただ単に「耳に心地いいから」とか「コンサートの雰囲気が好きだから」という理由で人は聴きたいのだとは思えない。ビールがただ美味しいだけでなく、アルコールが体内に入って化学反応を起こして自分の気分を根本的に変えてくれるのと同じように、音楽もその時の心になんらかの化学反応を起こす力が潜んでいると信じている。自分の演奏はそれを追求し足りていなかった。0.00%とは思いたくないが、よく考えてみると音楽に魂が入っているかそうでないかに関しては30%とか50%はないように思う。0か100のような気がする。今まではそれが一曲の中で0になったり100にたま〜に一瞬だけなっていたりしていたのだと思うが、これを常に100に出来るようにするのが今の目標となっている。 

何だか、「魂」と書いてしまうととてもおおげさに聞こえるが、結果はとても静かで地味な物です(笑)。自然と同じようにあるがままでありながら、生きているという大きなエネルギーが内在していて、そしてまさに一瞬一瞬に全てが含まれているような。。。

曖昧過ぎるでしょうか(笑)?今日、調べ物をしていてまた素晴らしいレコーディングに行き当たりました。言葉よりもこの演奏が全てを物語っています(笑)。S.チェルカスキーの白鳥です。彼のこの曲のレコーディングは2バージョン持っていて、今まで大好きでもう何百回と聴いているのだが何回聴いても聴き飽きないし、毎回感動します。そして、さらに今日は彼の若い頃の演奏を発見して、またまた驚きつつ感動。5回連続で聴いてしまいました(笑)。本当に素晴らしい。。。(ため息....)夢のよう。。。

追記:レコーディングが古く音質が悪いので、聴く時は音量を小さめにして聴いた方が良いかも。。。素晴らしい演奏は音量を小さくして聴くとさらに美しさが際立つので面白い。ちょっと皮肉ってしまうと今主流の力ずく演奏は音量を小さくすると何も残りません(笑)。


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