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バランス

音の大きさという問題は一人でもなかなか難しいのに、アンサンブルとなるとさらにややこしい。演奏者はホールの大きさや響きを考えた上で相当調整はするのだが、やはり本番前には客席で誰かに聴いてもらって意見を云って頂く事が多い。

先日、おこなったヴァイオリンとのコンサートでは、調律師の方がリハーサルを聴いて下さっていらしたのでピアノのふたの開け具合や音量などの感想をお聴きして本番にのぞみました。

そして、実際のコンサート。印象や好みによって感想も本当に様々(笑)。「ヴァイオリンとのバランスが良かった。ピアノがあんまり出過ぎるとげんなりしちゃうのよね〜。」や「ヴァイオリンの音が浮き立って聴こえて良かった。」という意見もあれば、『ベートーベンは「ヴァイオリン・ソナタ」じゃなくて「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」なんだから、ピアノがもっと対等でも良かったんじゃない?」』や「ピアノが伴奏に徹していて物足りなかった」というご感想も。

全ての人を満足させるとことはもちろん出来ないのだが、色々な意見を胸に色々と考えさせられます。

人の感想や意見というのは本当に貴重です。どうでも良い演奏だったら意見も感想も云って下さらないのだろうと考えているので、時間を取って聴いて下さっている人の感想は良いにしても悪いにしても大切にしています。

前回のブログで書いた発表会で弾いた時の母の言葉やその時の情景は今では自分の財産です。子供ながらにショックだったし相当傷つきましたが、それ以来私は日本にしろ、海外にしろ、大きな会場で弾いても一度も「音が小さい」とは人に云われた事がない(笑)。口もきいてくれないくらいに不機嫌になってしまった母の態度も相当なインパクトと影響力はあったと思っているが、高校生の時に云われたその言葉には本当に今では感謝している。

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