Thoughts

希望

今日という一日。

千駄ヶ谷にある津田ホールまで、恩師のW先生とロシアのピアニストの2台ピアノのコンサートに行ってきました。
 以前にピアニストの友人のMちゃんと2台ピアノやピアノ連弾の話になった時に、「あれは聴いている方は本当に楽しいのかな〜??」という事を論じた事があった。弾いている方としては何とも云えない楽しさがあるのだが、聴衆として聴いたコンサートとなるとあまりいい印象がない。ロンドンで何回か聴いたラベック姉妹は別として、内輪で先に楽しんじゃっている気がして聴衆は置いてけぼりにされるケースが多いような気がしていた。Mちゃんも「演奏者が楽しんでいるのを楽しむ感じだよね。音楽を楽しむというより...。」という意見で一致していた。それが、それが。。。。。

今日の2台ピアノのコンサート。本当に本当に素晴らしかった!!!アレンスキーとラフマニノフの二人のロシア人作曲家の超ウルトラC難度のプログラムだったがすみずみまで息も音質も音楽的にも合っていて圧巻。音のバランス作りがまた素晴らしい!その完成度の高さにただただびっくり。なんでこんなに違うんだろうとコンサート中ずーっと考えていたのだが、もちろん才能の凄さもあるのだが、音楽に対しての真剣さがとにかく違ったのだと思う。「楽しむ」という事に全く浸らない、というか全くそこに行こうともしない。ひたすらに音楽を追究していて全く甘さがない。その隙のなさ、音楽追究の深さに聴いている方は本当に純粋に音楽に入り込めた。特にラフマニノフの組曲は難曲なので、その難曲を弾き切る事ばかりに満足してしまう演奏が多いような気がするが、今日は初めて、その曲自体の素晴らしさがひしひしと伝わって来て大感激。第二番の組曲が有名でこちらばかり演奏される事が多いが、今日弾いていらした第一番も素晴らしく,私はこちらの方が断然好き。3曲目の「涙」には本当に涙してしまった。お二人の繊細な音作り,音楽作りに本当に感動しました。そして第4曲が「復活祭」。鐘の音が高らかに響くスケールの大きな曲。

クリスチャンにとって「復活祭」はクリスマスよりも大事な祝日。そして、これが実は今です。イエス様が十字架にかけられて,死に打ち勝って復活した事を祝う時なのです。

コンサートでたくさんの英気を頂いて,音楽の素晴らしさに心がいっぱいになったその足で教会に向かいました。

今晩は復活徹夜祭でした。死んだイエス様が復活なさって世界にその光が広がる事を象徴して、光の祭儀というのが行なわれました。教会の大きなお御堂は真っ暗にされ、イエス様の光を象徴する大きなロウソクの火を神父様が持ち、その一つのロウソクから信者さん一人一人のロウソクに火が受け継がれて行きます。毎年この祭儀には感動します。クリスチャンでなくても世界は本当に人と人とが関わり合いを持つ事によって一人一人の中に火(愛)が灯り,その火が受け継がれて繋がっているのではないかと実感出来ます。

この徹夜祭でも、この一週間の聖週間の間もたびたび被災された方、亡くなられた方のためにお祈りが捧げられました。今日のロウソクの火のように何かの形で皆が繋がりを持つ事によって一日も早く日本全体が元気になれればいいなと思います。

私は音楽家でありクリスチャンであるけれども、今日はこの両方面からたくさんの希望を持つ事が出来た、とてもいい日でした。

entries

categories

archives