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釜石:行くまでの不安

%E9%87%9C%E7%9F%B3%E5%B1%B1_resize.jpg6月末に行った岩手県釜石で過ごした時間の事を少し書こうと思います。

3月に地震があってからずっと被災地で何か出来る事をしたいと思いながら、なかなかどうやったら行けるのか分からずに悶々としていました。しかし、6月初めにいつも行っているカトリック教会の青年会が被災地でのボランティア募集のチラシを配っていて、これでやっと行ける糸口を見付けた、と思いました。ちょうど仕事の具合でチラシをもらった3日後に行けると思ったのだが、買い揃えなくてはいけない物があったり、中心となっている仙台のボランティアセンターには最低一週間前には登録しなくてはいけない事も分かり、その週に行くのは断念せざるをえませんでした。

仕事の関係で次に行けるのは6月の3週目。ずっと行くつもりでコンサートのための練習もとにかく繰り上げて早めに早めに詰めてするようにしていました。しかし、チラシを頂いた当初はあんなに行く事を即決出来たのに、時間が出来てしまうと、心配や不安もいっぱい出て来てしまいました。「健康ではあるけど、体力にそこまで自信がないので、ただのお荷物になってしまうのではないか?7月にコンサートがあるのに、こんな時に怪我や病気をしたら無責任なのではないか?逆にコンサートの責任を果たすために行かないのもどうなのだろうか?」などなど...。その上に実際問題として、水道、電気、ガスは通っている事が分かっていても、実際に飲食に使える水なのかどうか、下水は通っているのか、銭湯はあるが水も時間も節約しなくてはいけないのだったら、今長くなっている髪を切って行くべきなのか?まで、ありとあらゆる心配が浮上。こんな事を一日中心配して行くのを迷ってしまっていたのだが、自分にあきれて、「こんなに悩んでいるんだったら、思い切ってもう行くべき」と思い、行く事に決めました。

何事にも準備万端でいたい方なので、行くと決めてからも色々と心配はあり、結局荷物もやけに多くなってしまった。従妹が寝袋をわざわざ届けに来てくれたり、新宿の行った事のないような場所にまで、作業に使うものを買いに行ったりで、とにかく行くまで、準備(心の準備も含め)に振り回されました。自己完結が鉄則のボランティア。自己完結するのにこんなに物がいるんだ、と改めてびっくりしてしまいます。「ご飯とお味噌汁は提供、おかずになるものを持参して下さい」と書いてあったので、作業に出た時のお昼の食料等も詰め込んだ上にベースキャンプに問い合わせた時に「何か必要なものがあれば持って行きますが」とお聞きしたら「必要な物は全部あるのよね。。。強いて云えばタンパク質があまり手に入らないから、鶏肉とか。」と云われ、クールボックスで運ぶにしても生肉はさすがに怖いので(鎌倉から釜石まで電車で6時間半以上)近くのお肉屋さんの焼豚を30人分程持って行きました。

朝九時過ぎに出て、釜石のベースキャンプに着いたのは4時半過ぎ。
着いた途端に「随分、荷物多いね。」と云われました(笑)。
ベースキャンプは結局、もう既に相当充実していて、全てが普通に機能。節電、節水の気配もないので、鎌倉にいる時よりも快適なくらい。こんなだったら、あんなに心配する事も荷物も必要なかった。行く前の現地の情報がとにかく少なかった。(このブログも、これからボランティアに行こうと思っている方の参考に少しでもなれば、と思って書いています)

%E9%87%9C%E7%9F%B3%E7%93%A6%E7%A4%AB%EF%BC%91_resize.jpgしかし、ベースキャンプになっている教会の数十メートル先は瓦礫やめちゃくちゃになった家が延々と続いています。教会も浸水したそうだが、この津波との一線が大きな分かれ目となっていて本当に痛々しい。

これから東北での事を少しブログに書いていこうと思っていますが、結果を云うと、私は東北からたくさんの希望を持って帰って来ました。それは、これからの復興に対しての希望や人間の未来に対しての希望です。延々と広がる瓦礫の光景や避難所で接した方達の事を思うと本当に心が痛むのだが、それにも増して、出逢ったあらやる人の温かさ、心のきれいさに感動する事が多く、本当に人の心って素晴らしい、凄い、って今までの自分の「人間」というものを見る目が完全に変わりました。

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写真上:JR釜石線で釜石に向かう時の車窓から見える山々。自然が美しい。
写真中:ベースキャンプから歩いて1〜2分の光景。
写真下:作業にをしに行った大槌町。右奥に海が見える。左奥まで津波の爪痕が...。

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