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一から

%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%83%88_resize.jpgリサイタルというのはいつも思うのだが,本当に特殊なもののような気がする。
長い間黙々と孤独な練習を続けた後に舞台に上がり,舞台の上では孤独のようでいて孤独でないのだが、その後がとにかく大勢の人と一気に接する事になる。
今回は特にハードプログラムだったので、2ヶ月近く閉じこもって自分と向き合わなくてはいけない毎日だったのだが、終わった途端にたくさんの人からのフィードバックもあり、この両極端が凄いな〜と思いながら、急に今度はたくさんの人とのコミュニケーションが始まる。

もちろんポジティブなご感想はとても嬉しく、自分の励みにもなるし、次回への自信や頑張りにつながっていくのだが、逆にネガティブなご感想は自分の進歩や視野を広げるためにとても大切なものと思っています。コンサートが終わってすぐにマイナスの言葉を飲み込むのはなかなか難しいのだが、やはり演奏家としてはそれは受け入れなくてはいけない事だと思っている。それをどう解釈するかは別にして、聴いて頂いた一人一人のご感想は本当に貴重なものと思って一つ一つ心に留めるようにしています。

今回のコンサートは日本で初めてリサイタルをしてから10年目に当たるが、とてもラッキーな事に、この10年間、ずっと応援して下さっている方々がいらっしゃいます。本当に感謝な事です。
その中に、私がとても尊敬している方がいらして、今回のコンサートをとても喜んで下さっていました。その方は音楽家でもなく、音楽を専門的に詳しい訳ではないが、人や物事の本質を見抜く事が出来て、人間的に素晴らしいのです。初めてのリサイタルの時も喜んで下さったのだが、その数年後に都内で大きなリサイタルをした時に「いいんだけど、商業的になっちゃったね」と首を傾げながら仰っていました。この時のリサイタルは自分ではその時の自分に出来る限りの演奏は出来たと思うし、自分では満足しているので,何も後悔はないのだが、「商業的」と云われて,「ああ,なるほど」と思い当たる事もありました。
大きなリサイタルをするに当たり,自分の音楽に対する思いよりも、形を作り上げる事に一生懸命になってしまったような気がしないでもない。
そして、その後のコンサートではいつもこの言葉を胸に抱きながら練習に向かっていました。

しかし,今回のコンサートではこの方がとても喜んで下さり「みほさんのあるべき姿がありました。プロの演奏になりましたね」と仰って下さり、私もとても嬉しくなりました。「商業的」と「プロ」の違いさえも分かっていなかった自分が愚かしい。

曖昧にしか理解していなかった「商業的」という言葉でしたが、実はつい先日、知り合いの方がコンサートで弾いていらしたのを聴いてハッとしました。
彼女はまだ若く,これからという面もあったが、とにかく彼女にしかない、彼女の個性がにじみ出ているような演奏でした。全くコマーシャリズムに汚されていない演奏がとても新鮮でした。

私自身、まだまだこれからなのだが、やっと今最初の一歩を踏み出したが気がします。
音楽の道は本当に果てしない.................................................................。

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