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正統派

ブログには書いていなかったが、色々とコンサートにも行く機会があり、色々と勉強になったり、考えさせられたり...。つくづくクラシックのコンサートの意味を考えさせられます。
最近はとにかく「上手」な人が多いので、レベルの高さの問題ではなくなっているのだが、残念ながらなかなか「良かった!」と思えるコンサートに出逢えません。上手なのに、不愉快に感じたり、地味〜な演奏なのに心の奥まで響くものがあったり。本当に不思議です。

最近は特に目先の華やかさやエンターテインメントを意識したコンサートが多いので、内容的にがっかりする事もあるのだが、久しぶりに正統派のコンサートに2つ当たりました。

一つは東京文化会館でのイギリス人のピアニスト、John Lill (ジョン・リル)のリサイタル。オール・ベートーベンのプログラム。この方はイギリスでは超有名で、しょっ中しょっ中コンサートをしているピアニストです。私も学生の頃にロンドンで何回か聴きに行きましたが、当時は自分も若かったし、真面目な感じのリルさんは少し面白みに欠けているような気がしていました。しかし最近の傾向である派手な演奏がはびこっている中で、今回20年振りに聴いたリルさんの真っすぐなベートーベンはとても新鮮でした。この人は脇目もふらず、今までの一生を音楽と誠実に向かい合って来たんだな〜とつくづく思いました。全くコマーシャリズムとは関係のない音楽、そしてそこまで潔いその生き方を羨ましいとさえ思えました。

もう一つの正統派コンサートは知人のヴァイオリン・リサイタル。フランスでずっと演奏活動をなさっていらした方だが、音楽解釈がとても深く、一曲一曲をとても丁寧に演奏されるので曲の素晴らしさ、美しさが本当に良く伝わって来ます。

今回はバッハやブラームス、ラヴェル等、超有名どころの曲ばかりだったが、色々と工作せずに真っ正面から音楽と向かいあっている感じで、本当に気持ちのいいコンサートでした。凝った事を何もしていないのに、聴き慣れている曲もつくづく面白い。2時間近いリサイタルを隅々まで堪能しました。

本当に色々な誘惑に負けずに、正直に素直に真っすぐに音楽と向き合えたら良いな〜と思います。簡単なようでいてなかなか難しい...。

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