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片思い

%E3%83%AF%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0_resize.jpg昨日テレビの「日曜美術館」で紹介されていた、齋藤陽道さんの「宝箱」という写真展に行って来ました。
番組内で紹介された写真も素晴らしかったが,何よりも齋藤さんのコメントに感動してしまったので、早速行く事に...。

青山のワタリゥム美術館での写真展。三階に渡っての大掛かりなものだったが、一つ一つの写真が本当に美しく,何と云ってものびのびとしているので、見ていて心が解放される感覚がある。
それぞれの階に本人のコメントが書いてあるのだが、それがまた素晴らしい。写真撮影禁止だったので何となくしか覚えていないのだが「人や世界との境界線を無くしたい。」と云ったような言葉があり,正に写真がそれを証明していると感じました。

そして、この展示会をすぐにでも見たいと思った一番のきっかけが「音楽」に関係した写真を多く撮っておられるという事。聴覚障害を持つ齋藤さんにとって「音楽は永遠の片思い」というコメントが書いてあり、そして「だから逆に、そこに宇宙が広がる」というような事を番組内で云っていました。

最近,「音楽」という事が「音」とどれくらいに関係があるんだろうかと良く考えさせられる。同じピアノを弾いても全然違う音がする。物理的には同じ音しか出ないはずなのに...。どんなに大きな音を弾いても、それが心に届かない時もあれば、どんなに小さな音を弾いても直に心に響く時がある。今回の合唱のコンサートも、10年近く前にに弾いた時にはホールの大きさに負けないように相当気負って弾いたのを覚えているが、今回はあえて気負わずに無理せずに弾いても音が届くかどうかを見てみたい,という思いがあった。今の所、「音がよく聴こえなかった」というコメントはまだ聞いていないので音の大きさの問題ではないような気もする。

そして一番大きな問題の「感動」という事に関して,本当に人は何が聴こえているんだろう?と、よく考えさせられる。以前にアメリカの友人と巨匠ミケランジェリの話をしている時に「あの人のコンサートは耳が聴こえない人でも感動するような気がする」と意見が一致したのをとてもよく覚えている。

齋藤陽道さんの「音楽」を撮った写真からは「静かな音楽」がちゃんと聴こえる。齋藤さんにとって「音楽は永遠の片思い」とコメントしていたが、もう既に両思いになっている気がする。

ピアノを弾いている自分は実はまだまだ片思いの気がしないでもない...。

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